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人的資本経営!シニアの活用…?

人的資本経営の元年となった昨年。
いよいよ、上場約4,000社から、ヒトに関する決算書が公開される。

そんななかで、今日ミーティングの中で出てきた言葉。
シニアの活用という言葉。
なんか引っ掛かる。

これに少し違和感がある。

僕が普段かかわる中小企業にいたっては、人手不足でそれどころじゃなく、むしろ65歳を超えても現役で活躍している方がたくさんいる。
人員不足、採用課題に対するシニアの活用だ。

大手企業においてはどうだろう。
昨今ではオープンポジションによるジョブチェンジやリスキリングによる活性化を促すことでのシニア活用が注目されている。
一方、再雇用時の給与ダウン→モチベーションの低下が課題になっている。

この2つのケースにおける「シニアの活用」という言葉。
意味合いは大きく異なる。

良い悪いの問題を問いたいんじゃない。
勿論100社あれば100通りのケース、思想がある。

でも、やはり僕はこの「シニアの活用」という言葉に違和感を覚える。

労働力不足や法律改定によってシニアに目を向けらた訳だが、記憶や体力といった年齢的な理由によって、給与は一定カットしてまた雇用延長のリスタート。
昨日やってた仕事と同じ仕事を、今日からは一定給与がダウン中で担う。
そりゃモチベーションダウンになるだろう。
60歳になって、定年後はゆっくり年金で暮らす。
畑仕事もいいな…
今まで家族と向き合えなかったから旅行にいこう…
これまではそんなスローライフで悠々自適な暮らしが普通だったのに、いきなりハシゴを外されて、また会社勤めを継続。
しかも、やることは同じなのに給与ダウンで。

ここには会社の理由もある。
法律の改定による時代の流れはあるが、労働力人口の低下に伴う社会保険料の圧迫や、それによる働き世代の負担増加。
その生活の不安定さが少子化を加速させる理由の一つでもある。
だからこそ、社会的使命をもって取り組む必要がある訳だが、企業にとってシニア世代の増加は、人件費の高騰やパフォーマンスマネジメントなど、考えるべきポイントも存在する。

改めてこのシニアの活用という言葉を考えてみたい。
そもそも、活用という意味であれば、シニアであろうがジュニアであろうが、誰であろうが会社は従業員という貴重な資本を活用するわけだ。

ジョブ型が騒がれ、一部大手には導入が進むが成果に対して公平に評価し、その実現のために上司はマネジメントする。
出来ていれば継続、或いはステップアップ。
出来ていなければそれ相応の処置を施し、場合によっては退職マネジメント。
その運用の過程ではリスキリングも1on1も、当たり前の発想だ。

昨年は人的資本経営の元年となった。
いよいよ、大手からは人材に関する決算書が開示される。
ここには、事業戦略×組織人事戦略の連動度合い、実行における経営陣の現場の温度差、リーダーの推進力など、様々な課題が見えてくるだろう。
今回のテーマでも掲げた、シニアの活用においても、恐らく思考は変わってくるはず。

今一度、この人的資本経営の目的や目指すべき姿やゴールを見定める、すべての人々が活躍できる状態を作れることを、いちコンサルタントとして励みたい。

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