見出し画像

「マイナス」がキャリアを「プラス」に

column vol.805

昨日は小売業を通して、一見マイナスに見えるものも、自社のポジションを明確にし、役割を全うすると道が開けるという話をさせていただきました。

それは、個人のキャリアにも言えることだと思います。

最近、読んだ文春オンラインの記事でも、まさにそうだなと思ったので共有させていただきます。

2020年、「ビッグコミックスペリオール」(小学館)誌の主催する第5回ヤングスペリオール新人賞を受賞した短編『山で暮らす男』

この新人賞を獲ったのが、ハン角斉(はん かくさい)さんなのですが、受賞した当時の年齢が、何と64歳…!

〈文春オンライン / 2022年10月1日〉

マンガの新人賞に選ばれるには異例の年齢と言えるでしょう。

“高齢”というマイナスをプラスに

しかも、作品制作に至っても、効率化重視でデジタル化が進む現代にあって、ハンさんの原稿は完全アナログ

連絡手段も、スマホはおろか、パソコンもFAXもなく、固定電話だけとのことです。

しかし、担当編集者の方はこのように評します。

時代と逆行するような、アナログで丹念に描き込まれた絵からは、手仕事の美しさや執念が感じられ、迫力があります。気の遠くなるような長い時間をかけて精魂込めてつくったものは、センスとか技術とかを超えて、人の胸を打つんですよね。“ものづくりの原点”を見せつけられた思いがしました。

マンガは大衆娯楽ということもあり、一般的には、流行の絵柄や今の価値観が重要視されます。

ハンさんはトレンドに沿ってはいないものの、独特の世界観が逆に存在感を強めているように思います。

そして、同担当者の方は年齢を重ねたならではの表現についてこのように解説しています。

世の中には思いどおりにならないことや不条理なことがたくさんあるけれど、それに対して飄々と向き合っていく感じがあります。声高に戦うのではなく、しょうがないよね、と。そういったところは、年齢を重ね、世の中の酸いも甘いもかみ分けた人生のベテランならでは、ですよね。そこが、むしろ新鮮に感じるのではないしょうか。お年を召たことが、作家としてプラスに働いていると考えています。

私も記事の中で紹介されている『山で暮らす男』『眠りに就く時…』を読ませていただきましたが、まさにそんな印象を受けました。

少し刺激の強い作品になっているので、刺激があまり得意ではない方は閲覧注意となりますが、そうでは無い方は一度ご覧いただけると幸いです。

「高齢」「アナログ」というマンガの世界ではマイナスとされているものも、貫けば武器になる。

その好事例なのではないかと思います。

キャリアには「ズームアウト」が必要

自分のキャリアにとって何が一番マイナスだったかを考えてみると、パッと頭に浮かぶのは、30代中盤から40歳ぐらいにかけて約5年間くらい「キャリア迷子」になったことです。

マーケターとして行き詰ってしまい、次の成長が見えず、寄り道を繰り返してしまっていました。

しかし、そんなこともプラスになる。

そう改めて最近思わせてくれたのが、フォーブスジャパン【キャリアアップの過程で、定期的なズームアウトが必要な理由】という記事です。

〈Forbes JAPAN / 2022年10月1日〉

キャリアを進む道では、一歩下がって「ズームアウト」する時間が必要であると説いています。

その理由を3つにまとめています。

1. 目標が明確になり、それに沿って生きやすくなる。
2. あらゆる可能性に目を向け、検討することができる。
3. これまでどれくらい進歩してきたかを確かめるのに役立つ。

私の場合は「2」「あらゆる可能性」に目を向けられたということが大きかったと思います。

厳密に言えば「あらゆる」は私にとっては言い過ぎなのですが、迷子になっている間、ある程度会社は私を自由にさせてくれました。

(今思うと…、本当に迷惑をかけていたと反省しています)

しかし、その時得た経験値の中で今に生きていることがたくさんあると感じます。

例えば、運動指導の資格をとって運動指導できたことです。

幸運なことに当社では健康関連の企業さんをクライアントに持っていたので、よく健康イベントで、健康運動のレッスンを20人〜最大200人規模で行っていました。

コロナにより、その機会がパタリと無くなってしまったのですが、今はマーケティング関連での講演が増え、運動指導で培った人前で講義をするという経験が活かされておます。

最近では異業種転職の有効性に注目が集まっていますが、まさに他分野の知見を上手く組み込めるかが重要なのだと思います。

一見すると意味のない経験にどう意味を見出すかという視点が大事ということでしょう。

うつ病の経験値を活かし業界の先駆者に

さらに、極端な話、仕事ではなくても、遊びでも何でも良いと思います。

とても刺激を受けたのは、「うつ病」という心の病をプラスに転じメタバースの世界で先駆者として活躍している方がいらっしゃいます。

世界最大のメタバース・イベント「バーチャルマーケット(Vket)」の発起人であるフィオさんです。

〈bizSPA! / 2022年10月9日〉

数年前にうつ病を発症したフィオさんは、対人恐怖症により自宅から出られなくなってしまいました。

そんなときにVRに出会い、バーチャル空間の面白さに夢中になった結果、仕事ができるまでに回復していたのです。

そして、2018年に仮想空間上の展示即売会とも言えるVketを初企画。

年々規模が拡大し、2020年には来場者数100万人以上、個人出展数1200を記録し、ギネスにも認定されました。

さらに、2021年にはフィオさんが役員を務めるHIKKY社に、NTTドコモが65億円もの金額を出資

言葉ばかりが先行するメタバース業界において、ビジネス化に先鞭をつけたというわけです。

まさに「ザ・サクセスストーリー」と言えますね。

ということで、マイナスをマイナスのままにしておいたら、もちろんマイナスのままなのですが、プラスに転じられたら大きなチャンスを生むことになるのは間違いないでしょう。

結局のところ、マイナスをプラスに転じさせようという意識と、64歳でもマンガの新人を獲るんだというような決意と勇気が大切ということでしょう。

私にはたくさんのマイナスの歴史があるので、一個一個プラスに転じたいと思います(笑)


====================================
★会社でもメンバーと一緒に「仕事紹介note」をやっております!

〈最新記事〉

この記事が参加している募集

マーケティングの仕事

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?