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マイクロショッピングへの探求

column vol.39

新型コロナウィルスの分類を「2類相当」から外すか否かの検討が進んでいます。賛否両論ありますが、今一度この流行病を見直す時期に来ているのかもしれません。

小売業の現場も同じです。緊急事態宣言の発令から約半年。消費者がどのように変わりどのように変化していくのかを考えるとピンチがチャンスに見えてくるはずです。

コロナによって一番変わったことは?

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一番の変化はオンラインシフトですね。専門家の意見では、コロナにより約5年早まったとも言われています。確かに、私自身も今じゃオンラインミーティングは当たり前ですが、この春まで一度も行ったことがありませんでした。

これによってテレワークが加速し、いろいろなエリアで購買していた移動消費から地元消費に転換します。観光業では、「マイクロツーリズム」という言葉がキーワードになっていますが、小売の世界でも「マイクロショッピング」に変わっているのではないでしょうか。

郊外型や、地方の商業施設は特に「地元密着」を謳ってきましたので、チャンスなはずなのに、苦戦しています。昨対で6〜7掛けぐらいの売上の館が多いと感じています。

その原因自体もオンラインシフトによる影響と思っていませんか?確かにそれも正解です。でも、併せて需要を喚起できていないことも大きな要因なのではないでしょうか?現に、カインズなどのホームセンターは好調なのですから。

ニーズを掴んで売上アップ!

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テレワークシフトして、料理を始めた人が多くいると聞きます。実際、当社の社員の中にも多くいます。ただ、ランチタイムは自炊するならサササと済ませたい。そのことに気づいた社員が、担当クライアントのInstagramで簡単ランチレシピを特集したところ、紹介した食材が売上を伸ばしました。

一見、ECにとられそうですが、その社員は身体がなまらないよう夕方に散歩する習慣があったので、夕方散歩→簡単ランチレシピをストーリーとして見せ、その上で食材のこだわりもフォロワーに伝えていました。

他の社員は、お弁当&お惣菜派なのですが、やはり毎日だと飽きてしまいます。そこで、グロッサリーと絡めて「味変(ちょい足し)特集」をしたり、惣菜に合う食器を紹介したりして、エンゲージメントを高めていました。

物販であってもできるはずです。例えば、オンラインミーティングで映える「トップス」特集であったり、コスメ特集などがそうです。そして、ヘアースタイルも欠かせませんね。私の妻の会社では、ヘアーバンドやアクセサリーが流行っているそうです。

また、オンラインの小さな画面でも、さり気なく可愛い小物で背景を演出する人も見かけます。バーチャル背景を利用する人も多いですが、逆にここでセンスの高さを見せつける人もいるので、需要はあるはずです。

他にもDIYブームの流れを受けて、リメイク特集も良いかと思います。買ったアイテムを自分なりにアレンジを加えてオンリーワンのものに変えていく。そのためにオンラインレッスンイベントを用意しても良いでしょう。

情報発信は抜かりなく行っていますか?

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せっかく良い商品・サービスを用意しても、伝わらなければ意味がありません。「売上が落ちた分だけ販促費を落とそう」という気持ちは分かりますが、高度情報化社会の現在において、情報発信と消費は切っても切れない関係にあります。逆に命取りになる場合もあります。

「派手に広告を打て」ということではありません。ちゃんと、商品やサービスの価値、そして館としての取り組みが見える化できているかを検証した方が良いということです。

これはコロナ以前から、当社に相談にいらっしゃる企業さんを最初に覆面パトロールすると、ほぼ100%この問題に直面します。

また、飲食店でウーバーイーツなど、個店単独で努力していることもピックアップしてお客さまに伝えてあげたいものです。テナントはそれこそ、情報伝達に力を注げません。もちろん、ディベロッパーの皆さまもお忙しいとは思いますが、テナントあっての商業施設。少しでも協力することがテナントのモチベーション&信頼アップにつながるのではないでしょうか?

今後の見落とせないテーマとは

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ちなみにウーバーイーツで興味深い記事を見つけたので、ご紹介します。

〈デイリー新潮 / 2020年8月25日〉

直近3ヵ月で最も売れた商品は、なんとローソンの「からあげクンレッド」だったそうです(驚)!配送料の効率を考えて、ちょっと「からあげくん」を足す。こうなると、この辺の価格帯の商品はチャンスとなります。

このことからも、コロナによる消費の変化をどのようにチャンスにつなげるかが重要です。何となくの肌感覚ですが、コロナが落ち着くまで待とうという受け身になっている商業施設も少なからず見かけます。

コロナによって変化したことの中でも、終息しても変わらないものも多くあるはずです。毎日の分析と対応と、中長期的視点を整理するのも大切でしょう。

そして、もう1つ今後欠かせないテーマは「サスティナビリティ」だと思います。先月、レジ袋の有料化が始まりましたが、持続可能な社会の実現は熱を帯びてきていると感じます。

ちなみに、「インファーム」はご存知でしょうか?スーパーなどで直接農作物を育て、買うことができるベルリン発スタートアップなのですが、これにより究極の地産地消が実現します。

この記事で私が注目したのは、農作物が畑から消費者に届くまでに50%が廃棄物となっているそうです。こういったことが今後ますます認知されていけば「Buy Local」は進んでいくはずです。冒頭のローカル化は消費だけではなく、生産・販売にもつながっていくはずです。

今回は「マイクロショッピング」というテーマに絞ってお話しさせていただきましたが、顧客の変化への丹念な観察と対応、そして中長期を睨んだ構想力がますます求められる時代になっていくと思います。まずは、この半年の経緯を見直すところから始めてみると良いかもしれませんね。

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