「ストーリー消費」の時代
column vol.578
昨日は「体験消費」についてお話しさせていただきましたが、もう一つ、今の時代に大切な視点となるのが「ストーリー消費」です。
つまり、商品の背景にある物語、バックグラウンドストーリーが購入決定の重要なファクターとなります。
例えば、有名人が愛したブランド、職人がこだわり抜いて作った逸品など、商品の付加価値と言ったら分かりやすいでしょうか?
物語があれば、ゴミも宝となるのです。
飛行機の“中古”部品が宝に
カプセル玩具の市場は2019年度に400億円を超え、ブームとなっていますが、羽田空港のガチャガチャにただならぬ熱視線が集まっています。
〈ITmediaビジネスオンライン / 2022年2月19日〉
地下1階スペースに20台ほどの自販機が並んでいるのですが、カプセルトイの中身はJALで捨てるはずだった中古部品なのです。
コックピットで誤った操作を防ぐために使う「操作禁止タグ」、JALの国際線で使っていたシートカバーでつくった「クラスJシートカバー」、実際にエンジンを支えていた「エンジンボルト」、ギア整備中に使っていた「メッキ試験片」、鶴丸と同じペイントを施した「JALペイントキーホルダー」の5つ。
機内で実際に使われていたモノをカプセルトイで販売することは珍しく、SNS上では「お目当ての操作禁止タグが出てきた」「何度も回しちゃったよ」など、話題騒然に。
1月に整備関連のグッズ(1回500円)を販売したところ、150個がわずか3日で完売したそうです。
さらに、2月10日に、第1弾の2倍にあたる300個を第2弾として販売したところ、翌日の朝(販売時間でいうと7時間ほど)に完売。「ゴミが宝に」の典型です。
でも、よくよく考えてみると、飛行機ファンにはたまらない品々です。
エンジンボルトを見つめながら、この飛行機がどんな場所を飛んで、どんな物語を紡いできたかを想像する。
飛行機ファンの想像力を捉えてヒットした典型的なストーリー消費と言えるでしょう。
海の“厄介者”を宝に
続いては、食材についてのストーリー消費の一例です。
〈テレ朝news / 2022年2月18日〉
「イボキサゴ」という貝をご存知でしょうか?
千葉市ではイボキサゴが大量発生し、他の貝の餌が少なくなってしまうことで、アサリやアオヤギが激減しているそうです。
まさに「海の厄介者」として扱われてきたわけですが、千葉市埋蔵文化財調査センター・西野雅人所長など、イボキサゴを愛する人たちが、汚名返上とばかりに、その魅力をPRしているそうです。
イボキサゴは縄文時代に食べられていた貝。つまり「縄文グルメ」である。
なるほど、どうでしょう?
海の厄介者が、悠久のロマン溢れるグルメに様変わりする方もいらっしゃるかと思います。
少なくても歴史好き(考古学好き)なら食べてみたいのではないでしょうか?
マーケティング的には「リ・コンセプト」と言いますが、コンセプトを再策定することで、消費者の興味を惹けるという好事例なのではないでしょうか。
私も千葉に行った暁には縄文グルメを食してみたいと感じました。
「社会的活動」がブランドを牽引
ということで、不要だと思われていた対象が、宝と変わる、その活用事例をご覧いただきましたが、最後はSDGs×ファッションの事例で締めたいと思います。
「オーエーエムシー(OAMC)」から、新たなコレクション「RE:WORK」が2022年春夏シーズンに始動します。
〈FASHIONSNAP.COM / 2022年2月22日〉
RE:WORKのコンセプトは「既存の衣服を再利用し、新しいデザインのアイデアに組み込む」。服や生地をアップサイクルし、新しい素材を最小限に抑えたアイテムを展開します。
まさにサステナブル社会を象徴するシリーズで、この理念に共感する人はきっとコアファンになっていくでしょう。
ちなみに、もともと私がオーエーエムシーを知るきっかけとなったのが、「PEACEMAKER」をアイコンにしたシリーズを出したことでした。
PEACEMAKERとは、社会や環境、政治に関わる問題に対して思いやりと行動力のメッセージを広めることを目的とした慈善団体のことで、彼らの活動に共感したオーエーエムシーがコラボを実現。
こういった想いのストーリーに惹かれて購入する人は多いはずです。
「オールバーズ」を好きな人の中にも、ブランドの哲学に共感して購入する人が多いですが、やはり、ここでも企業の「ミッション・パーパス」が重要であるという昨日の話と通ずるかと思います。
昨日の話をまだご覧いただけていない方は、併せて読んでいただけると嬉しいです。
そして何と言っても、明日は土曜日です。
先週末、水曜日と休日に休めなかったのですが、明日はゆっくりできそうです。
まずは骨を休めたいと思います!
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?