見出し画像

数字から解る「働く人の実態」

column vol.400

このご時世、安定志向が強まっていると思いきや、それだけではないなと感じた記事があります。

マイナビニュース【正社員化の誘いを受けた派遣社員の77%が「断った」と回答 - 理由は?】という記事です。

〈マイナビニュース / 2021年8月20日〉

マイナビは8月19日、「2021年派遣社員の意識・就労実態調査」の結果を発表。調査は7月1日~5日、現在派遣社員として働く20~59歳男女1,376名(男性489名、女性887名)を対象にインターネットで行われました。

77%も正社員になることを断った、その理由は一体何なんでしょう?

「不本意な時間」を過ごしたくない心理

正社員化の機会について調べたところ、28.9%が、派遣先や派遣元から正社員化の誘いを「受けたことがある」と回答。

特に「医療・介護・福祉」(46.9%)、「サービス」(34.4%)、「販売」(31.4%)分野で高い傾向に。

一方、誘いを断った割合は全体で76.5%

職種別でみると、「サービス」(87.5%)が最も高く、次いで「販売」(84.1%)、「医療・介護・福祉」(81.7%)と続きました。

そして、気になる理由としては「残業など、勤務時間や勤務日数の負荷が増えるから」「販売」「医療・介護・福祉」で4割を超えました

次に、今後どのような雇用形態で働きたいかを聞いたところ、半数以上が「派遣社員」(50.1%、前年比+6.1pt)と回答。

派遣契約形態別に今後も派遣社員で働きたい理由をみると、登録型派遣(有期雇用契約)では、「勤務地を選べるから」(33.8%)、「職場を変えやすいから」(31.7%)が高い結果に。

常用雇用型派遣(無期雇用契約)では、「雇用保険や社会保険に加入できるから」(24.4%)、「責任が重くないから」(21.3%)などが主な理由でした。

我慢してまで働きたくないという心理が窺えます。

大切なのは「自分軸」で働くこと

この傾向は、共働きの方々を応援する情報サイト、共働きwith【「今の働き方が幸せ」と答えた人は何%?新時代のビジネスリーダーが考察する「2021年の働き方」】という記事ともリンクします。

ニューノーマル時代の働き方とは、「自分が心地良く生きるために」「幸せと向き合うために」といった“自分軸”でとらえながら、社会と関わっていくカタチが大前提になりそうです。

〈共働きwith / 2021年4月19日〉

同サイトの調査によると、テレワークなど新しい働き方に対して61%が満足と答えています。

そして、「一年の中で変化したことは?」という問いの1位「時間の使い方」で、76.3%でした。

そして、もう一つ働く人の声に注目しました。

■不満のある仕事を続けるよりも、純粋に好きなことをしたいと思った(営業・27歳)
本業以外のスキルも磨いてみたくなった(事務・30歳)

ニューノーマルの働き方は仕事の概念を変えたと思います。

自分らしく、豊かに働きたい。そのためには不本意な時間を減らし、心豊かに仕事をするための環境づくりやスキルアップに役立てたい。

以前は同じ時間でも「時短」がメインでしたが、今は「時創」になっています。もっとかけたい時間(目的)に軸足が移動しているということです。

「環境リッチ」がこれからのトレンド?

時間の重要性は、時代を象徴するまさにトレンドだと思います。

心理学者のアシュリー・ウィランズさんが書いた『TIME SMART(タイム・スマート)』はそのことを表している一冊でしょう。

〈東洋経済オンライン / 2021年8月6日〉

最近では、時間をお金で買うという考え方は一般的になっています。

そのことを踏まえた上で、さらに「環境リッチ」の重要性に注目が集まってきました。

TIME SMARTの中でも「どこでも好きな場所で仕事をしてもいい従業者は、オフィスの近くに住むことを求められる従業者より、生産性が4.4%高い」と語られています。

東洋経済オンラインのこの記事の書き手である株式会社grooves代表取締役の池見幸浩さんも時間的な余裕をもてるようになった人は環境リッチを重視すると考えていらっしゃいます。

もちろん、住む場所だけではなく、家庭環境など状況環境も同じように大事だと指摘。

同社では、家族の事情を許容する文化があって、それぞれのスケジュール表には「子供を迎えに行く」「子供と風呂に入る」といった時間がプロットされているそうです。

家族との時間が豊かになれば、もちろん仕事のパフォーマンスとの相乗効果が期待できます。

そして、「タイムリッチ」「環境リッチ」を自ら主体的に築き上げていくことでセルフマネージメント(セルフプロデュース)も向上していくわけで、より自分軸の仕事の仕方に近づけるというわけです。

少なくても、お金のために不本意な状況を受け入れるという常識は過去のものになっているのかもしれません。

給与や安定を担保しているだけでは、企業に人が集まらなくなる。やはり、今後は社員の自分軸を叶えられるような経営戦略を考えていかなければならないということですね。

非常に大切なことを今回の事例で確認できました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?