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「孫子の兵法」でコロナ対策

column vol.163

今日から冬休みという方も多いとは思いますが、我ら神奈川県では年末年始の医療提供体制の確保を図るため、同期間中に発熱外来受診患者などに対応できるよう、薬局に対して協力を要請

緊迫する医療現場の緩和を図ろうとしています。

ステイホームクリスマスに続き、ステイホーム年末年始になるのですが、久しぶりに家の中にずっといると、緊急事態宣言中の自粛生活のことを思い出します。

まだまだ続きそうなコロナとの闘いにおいて、自粛期間から現在の期間を振り返りつつ、今後の対策をどのように考えるか、自分なりにも思いを巡らしたいと思います。

「出社命令」で不安神経症を発症!?

自粛期間を象徴する出来事としてまず思い出すのが「リモート格差」です。

リモートに移行できない業種や企業もありますが、同じ企業内でもリモート格差はあったようです。

私の知り合いの企業には、例えば、社員はリモートOKで、契約社員や派遣社員は出勤が必須。他にも、役員はリモートで、その他の方々は出勤という企業もありました。

この出社しなければならなかった状況が、メンタルに多大なる影響を与えてしまった事例もあるそうです。AMPの記事で紹介されているMさんが、その一例。

〈AMP / 2020年12月18日〉

コロナが一体どんなウイルスなのかが今よりも全然分からなかった5月に出社命令に従い、家を出たところ不安神経症を発症

このことにより、退職することになってしまったそうです…。

7月以降、自殺者は増加。特に女性の自殺者の増加は顕著で、10月
昨年同月比で82.6%増と無視できない社会問題になっています。

女性の自殺率が多いのは、「非正規の方が多く、失業が多いから」と報道されていますが、掘り下げていくと、不安定な雇用契約だけではなく、Mさんのようなコロナによる精神不安から、最悪の事態に繋がってしまう可能性もあります。

ちなみに、Mさんは気持ちを切り替え、失業手当を受け取りながら再スタートを切ることができましたが、経営する側の人間は社員へのメンタルヘルスに対する意識を一層高めなければならないと、この事例は教えてくれます。

変異種鳥インフルなどの登場が、ウイルスの新たな展開と長期戦を示唆していますが、年明けはもっと想像力をもって丁寧に社員の心に目を配らないといけないと気が引き締まりました。

コロナ禍の会食制限は43.7%

リクルートライフスタイルが、外食市場に関する調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」の実施した「第3回 緊急事態宣言解除後の外食実態調査」について結果を発表。

〈ITmediaビジネスオンライン / 2020年12月22日〉

企業や学校といった何らかの団体に所属している人に対し、その団体や他社との会食など、オフィシャルな外食を制限するような指示が出されているかを尋ねたところ、「何らかの制限がある」と回答した人は43.7%だったそうです。

1位は「大人数は禁止」(28.0%)で、「自社で主催は禁止」(9.1%)、「長時間は禁止」(7.1%)、「全面的に禁止」「社外を含むものは禁止」(ともに5.1%)と続いています。

以前、朝日新聞で読みましたが、「業務を補完し合う人の両方が参加するのは不可」「2次会は禁止」「感染防止宣言ステッカーの店を利用」など、飲み会の独自ルールを設けている企業もあるそうです。

飲食店の倒産と感染を防ぐ「ソロ外食」

「飲み会」に逆風が吹く中、飲食店を救うための新しい提案もなされています。

東洋経済オンラインに掲載されていた独身研究家の荒川和久さんの【コロナ禍の飲食店を「おひとり様」が助ける根拠】という記事が面白かったので共有させていただきます。

〈東洋経済オンライン / 2020年12月15日〉

外食産業を支えているのが、実はソロ客の方々。

家族の外食費を100とすれば、34歳までの単身男性の外食費は17035~59歳では14934歳までの単身女性も108、35~59歳では70と、35歳以上の単身女性以外はすべて、家族よりソロのほうが外食にかける実額で上回っているのです。

20~50代に限った年間のソロ外食規模は、独身男性が約2兆2700億円独身女性が約8600億円、2人以上世帯の家族は約9900億円。つまり、ソロ外食市場の4分の3を独身が占めていることになります。

自分も独身時代は、外食三昧だったのでよく分かります。居酒屋はメニューが豊富な上に、夜の炭水化物を避けることができるので、お酒を軽く飲みながらご飯を食べるには、ちょうど良いのです。

ソロ外食の取り込みは、飲食店を救う1つの方策かと思います。

外出自粛が身体にどんな影響を与えるのか?

アシックスは、在宅勤務や外出自粛が身体に与える影響を調べるため、同社が提供する企業向け健康増進プログラム「ASICS HEALTH CARE CHECK(AHCC)」の同社社員を対象とした診断結果を分析。

〈AMP / 2020年12月26日〉

分析した結果、在宅勤務や外出自粛が、脚力、持久力、肩関節の柔軟性に悪影響を与えた可能性があることを示してます。

一方、意識的に運動習慣を改善することで下肢筋肉量肥満度持久力が向上し、健康増進に寄与することも確認できたとのこと。

8週間、週3回以上のオンラインフィットネスに参加することで、脚力(椅子5回立ち上がり)が11.4%柔軟性(肩外転関節可動域)が3.4%向上したそうです。

自粛期間中にオンラインフィットネスにハマった人は多いと思いますが、この巣篭もり冬休みでも実践したいところですね。

手には知られざるバリア機能がある

花王パーソナルヘルスケア研究所花王生物化学研究所花王解析化学研究所の3社は、ヒトの手指には、感染症の原因となる菌やウイルスを減少させるバリア機能が生来的に備わっていると発表。

〈マイナビニュース / 2020年12月14日〉

手汗から分泌される乳酸がバリア機能を果たしているそうです。

もちろん、個人差はあるようなのですが、この発見はこれからの感染対策を変えていくと思います。

現在の一般的な手指衛生の手段は、手洗いアルコール消毒ですが、こちらはあくまでも一過性。対して、手指のバリア機能は恒常的であることから、この機能を高めるという新しい衛生習慣が生まれそうです。

人間の持つ力と可能性に改めて感心します。

ウイルスとの闘いは、2〜3年続くとか、さらに長期化するとか、ネガティブな見解もチラホラ聞きます。

何が正解か不透明な状況ですが、メーカーも小売も「イミュニティコンセプト(免疫力向上)」は重要なキーワードになるでしょう。

ウイルスの脅威を知るとともに、その特性を把握して対抗策を考え人間の持つ力や可能性も併せて解明していく。

「己を知り敵を知れば百戦危うからず」

一番よろしくないことは「すでに分かっている」と思ってしまうこと。常にコロナと人間を知る努力をする。ウイルスの闘いにも、孫子の兵法が当てはまりそうです。

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