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「当たり前」の裏に「発見」がある

column vol.615

昨日は、思考の「死角」についてお話しさせていただきました。

自分はどこまでも完全には客観的には見られない。ゆえに人からの「指摘」を上手に味方につける

自分の見方を疑うのは、「見えるもの」にも同じことが言えます。

人は見たいようにしか、物事が見えない。

同じものを見聞きしても、相反する考え方の2人では、全く逆の捉え方をする場合があります。

それぐらい、人にとっての真実とは、自分の都合の良くできている可能性が高いのです。

今日は、世の「当たり前」とは異なる2つの事例をお見せしたいと思います。

「ホワイト企業」を辞める若者たち

最初の事例は、ビジネスインサイダージャパン【「ゆるい大企業」を去る若手たち。ホワイトすぎて離職?働きやすいのに“不安”な理由】です。

〈BUSINESS INSIDER JAPAN / 2022年3月29日〉

高い倍率を勝ち抜いて大企業に入社した若手社員の間で、早期離職が増えているそうです。

若手の離職と言えば、長時間の残業やパワハラが横行する「ブラック企業」が頭に浮かびますが、労働時間の縮減コンプライアンスが徹底されている「ホワイト企業」にもその傾向があるのです。

ホワイト企業であることは重要ですが、物事には必ず光と影があって、離職する若者からすると、ホワイトであることがある種の「ゆるさ」と結びついてしまう場合もあるとのこと。

リクルートワークス研究所が大企業に勤める新入社員らを対象にした調査では、例えば労働時間の比較については、①1999-2004年卒月の残業時間約45時間だったのに対し、②2019年卒〜2021年卒20時間ほど。

そして、新入社員期に上司・先輩から叱責される機会「一度もなかった割合」は、①は9.6%②は25.2%になっています。

仕事の負荷感について、(仕事量)・(仕事の難易度)・関係性(人間関係のストレス)全ての負荷が低下傾向にあったそうです。

「ゆるさ」に不安を覚える若者たち

職場の風土は急速に良くなっており、「休みが取りやすい」「副業や兼業をする人に肯定的な職場である」「失敗が許される職場である」などと回答する割合は、直近の新入社員は最も高い状態となっています。

しかし、それが先述の通り、若者の中には「ゆるさ」に思う方もいて、「不安」を覚えることもあるのです。

実際、先ほどの調査のストレスに関する質問では、新入社員75.8%「不安だ」と回答しており、1999年卒以降の社員の新入社員期と比べると、むしろ微増の傾向が見られています。

この「不安感」を深堀りすると、興味深いことが分かってきます。

直近の新入社員の48.9%が、「自分は別の会社や部署で通用しなくなるのではないかと感じる」と回答していたのです。

ホワイト企業が増える中で、予想不能なVUCA時代に直面し、キャリアモデルが不明確なまま日々を過ごす若者たち。

「時流の取り残されるな」と一方で言われつつ、もう一方で「無理はするな」とも言われる。

真面目で意識の高い人ほど、実はパラドックスに苦しんでいる可能性は高いかもしれません。

以前、お会いした元電通出身の若手起業家の方に、「なんで起業したのですか?」とお聞きしたら、やりたいことがあったことは前提として、このように言葉を付け加えたのです。

「会社員だと突っ走れません。こんな不安定な時代にがむしゃらに走れないなんて辛いですよ」

もちろん、その方も突っ走りたくない人を走らせるのは良くないことは付け加えています。

ただ、昔は「時間を使って若手を育てる」という意識がありましたが、今は「なるべく残業させない」ことが重視されています。

若者はホワイトに守られているようで、「自分の成長は自分で導かねばならない」という昔以上にシビアな状況に置かれているとも言えるのです。

つまり、今の若いビジネスパーソンは、私たちの時代とは別の大変さがあることがわかります。

「ホスト」を必要とする新しい人たち

自分磨きを業務時間外にも求められる傾向が強まっていることも影響しているのか、最近、ホストクラブに通う人たちの顔ぶれが変わってきているようです。

〈NEWSポストセブン / 2022年4月1日〉

「ホストクラブ=女性が行く所」という頭の中の方程式を崩すほど、何と、男性客が増えているそうなのです。

例えば、こんな理由から。

「ホストクラブも男社会で競っているから、愚痴を共有できるところがあって。うまい対処法を教えてもらうこともあります。ホストの男とは住む世界が違うと思っていましたが、こんなに同じ悩みを共有できるとは思いませんでした」

なるほど、会社で話せない愚痴や悩みを同じ境遇の人に聞いてもらいたい需要ですね。

また、とあるホストの方はこんなお客さんのエピソードを語っております。

初対面の人との会話術を学びたい、と営業に転職した方から指名をいただいたことがあります。一緒に飲んで色々アドバイスしたらその2ヵ月後にひとりで来てくれて。おかげで営業成績伸びたよ、とシャンパンを入れてくれました」

つまり、ホストクラブは、男性社員のビジネス力向上の場となっているわけです。

「ゆるい職場」「男性のホストクラブ通い」。この2つの事例は、「当たり前」の裏にある新しい兆しがあり、実は繋がっている

同じものでもから見るだけではなく、斜めから見たり、から見たり。色々な角度で見ることで、新しい発見があるのですね。

さまざまな知識や考えを吸収する意識も大切ですが、多様な見方をすることも同じぐらい重要だと気づかせてくれる、本日の事例記事でした。

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