「何者ではない人」の輝き方
column vol.509
昨日は、専業主婦から「LOF HOTEL」の日本法人社長に至るまで輝かしいキャリアを築いてきた薄井シンシアさんのセミナーについて共有させていただきました。
さぞかし特別なスキルやノウハウがあると思いきや、ご本人に成功の秘訣を尋ねると、そんなものは何もないと語ります。
ただ、ひたすらお客さまや同僚に向き合い、その都度足りないことを勉強してきた結果とのこと。
自分は「何者でもない」と話すのです。
その言葉を頭の中で反芻すると、一つの事例を思い出しました。
デイリー新潮のオアシズ・大久保佳代子さんの記事です。
〈デイリー新潮 / 2021年12月12日〉
ただ目の前にあることに一生懸命になる
大久保さんは相方の光浦さんがピンでブレイクする中、「めちゃイケ」合流後も約10年間コールセンターのOLを続けてこられた苦労人です。
持ちネタや特殊なキャラで当たったという印象もなく、コントもしなければ、受賞歴もありません。
それでも生き馬の目を抜く芸能界で第一線で活躍し続けています。
その秘訣をデイリー新潮編集部の冨士海ネコさんは、大久保さんの次の言葉から見出しています。
「(自分も含め)独身で残っている女芸人、みんな性格が悪い。我が強い」
ここに冨士海さんは「冷静な自己分析と燃えたぎる自意識」を感じたそうです。
「何者でもない」から目の前の仕事を「ちょっと嫌な人」だと思われてもこだわって取り組んでいく。
つまり、そこには強烈なプロフェッショナリティが内在しているというわけです。
制作側や視聴者から何を求められているかを的確に把握し、最大限に応えていく。そういった仕事の基本を突き詰めることが大切だということですね。
会社は「船」、クライアントは「運命共同体」
このことは、SHOWROOM株式会社代表取締役社長、前田祐二さんも同様の見解を指摘しています。
〈with online / 2021年8月13日〉
前田さんが「プロとして信頼を集める人」の共通点として2つ挙げています。
一つは会社を「自分の船」だと思って働くこと。
個人の成果ばかり気にしている人と、組織の成功のために全力を尽くす人とでは、特に長期で見るとパフォーマンスに残酷なほど雲泥の差が出るそうです。
確かに、優秀な人は皆、経営者視点をもっています。
結局、船が沈めば自分も沈む。船が浮かべは自分も浮かぶ。
例えば、会社の名誉が傷つけば、その分、会社の活躍の場が狭まってしまい、自分のチャンスも少なくなってしまいます。
会社全体を高めていけば、自ずと自分を高めることに意外と気づかない人が多いのです。
さらには、リーダーは当然ながら組織(チーム)全体を引き上げられる人です。そういう意識が要職を引き寄せるというのは必然です。
それから、もう一つ。どれくらい「お客さまのため」と心から思えるか。
会社勤めしていると、ついつい仕事があることが当たり前に感じてしまいます。
しかし、よくよく考えてみると仕事があることって奇跡の連続なのではないでしょうか。
例えば、私の会社はマーケティング会社ですが、同じような会社は五万とある。その中で選ばれて、仕事をし、さらに信頼を得るためにはお客さまの期待以上を提供することが肝要になります。
そもそも、クライアントが沈めば当社も沈み、クライアントが浮かべば当社も浮かぶ。まさに運命共同体です。
だから、自分のやりたいことにこだわるよりも、仕事で「誰かのため」を起点に考える。
「好きなことで、生きていく」でお馴染みのYouTuberだって、多くの視聴者の心を掴み、持続させるために綿密なマーケティングを行っているのです。
仕事の基本は、「誰かを喜ばせて、その対価をもらう」こと。
「誰」を常に頭に浮かべることがプロ度の高い人へと成長させるのです。
「自分への問いかけ」がプロ度を高める
大久保さんの事例でもお話ししましたが、まずは現状の自分を客観的に整理することが大切です。
マッキンゼー・アンド・カンパニー出身で、現在も組織開発・人材育成コンサルタントとして活躍する大嶋祥誉さんは、「自分自身を知る10の問い」をオススメしています。
1.自分が大事にすべきことは?
2.もし今日が最後の日だとしても、今からやろうとしていたことをするだろうか?
3.自分が本当にやりたいことは何か?
4.自分が喜ぶことは何だろう?
5.自分がお金を積まれてもやらないことは何か?
6.目の前のことをワクワクするものにできないか?
7.何があれば自分が楽しく生きられるのか?
8.本当にそれしかないの?
9.どんな想いからやっているのか?
10.選びたいのは、どんな未来か?
〈サライjp / 2021年11月28日〉
私はこの10個の質問全てに明確な答えがある必要はないと思っています。
(3)自分が本当にやりたいことは何か?が無いなら、まずは(6)目の前のことをワクワクさせれば良いと思っています。
逆に目の前のことにちゃんと向き合えず、自分探しを続けても何も見つからず、ただただ無為な時間だけが流れてしまうような気がします。
仮に見つけたとしても、さまざまな逆境が生まれて「これが本当にやりたかったことなのか?」と揺れることもあるでしょう。
であれば、「仕事は誰かを喜ばせて、その対価をもらう」という基本に戻る。特に凡人の私には、その方が性に合っていると感じます。
もちろん、人それぞれ。
人生は選択の連続ですが、自問自答をし、自分の頭と心を整理して、自分にとっての「Good choice」を考えていければ良いと思います。
「何者でもない」人でも仕事の本質に向き合えば輝ける、そんなことを期待したい今回の事例でした。
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