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2025「貢献経済」が開花する

column vol.421

先週の水曜日に、当社の企業向けセミナー「文化経済研究会」が開催されたのですが、ゲストスピーカーの一人、株式会社ジーンクエスト代表取締役の高橋祥子さんが執行役員として所属する株式会社ユーグレナは今、注目の企業。

その代表取締役である出雲充さんの記事が、まさにこれからの時代を表現していると感じたのでシェアさせていただきます。

〈NIKKEI STYLE / 2021年9月14日〉

2025年に価値観が大転換

出雲さんは「ミドリムシで世界を救う」と大志を抱いて創業し、ミドリムシを原料の一部とするサステナブル(持続可能)なオイルでジェット機を飛ばすまでに至りました。

そんな出雲さんが儲けを最優先するこれまでの金融資本主義的価値観から、サステナビリティを重視する価値観への転換を示唆しており、2025年を境にその価値観の大転換が起きると語っていらっしゃいます。

その心は、15~64歳の生産年齢人口の過半数「ミレニアル世代」「Z世代」が占めるようになるからです(出雲さんはまとめてミレニアル世代と読んでいます)。

この2つの世代は今の資本主義に限界を感じ心の底からサステナブルを欲しているという特徴があります。

彼らは選挙消費就職投資など、さまざまな場面で「サステナブル」であることを重要視します。

例えば、ESG投資なんかはその代表例でしょう。

そして、就活のおいても「エシカル就活」という言葉がありますが、今やZ世代の5人に1人「社会的取り組みを重要視している」と回答。

ユーグレナには給料がものすごく高い外資系金融機関総合商社を辞め、転職してくる人たちも出てきているそうです。

日本経済には「ヒーロー」が必要

そんな出雲さんをDeNA会長の南場智子さんは、「メルカリ」山田進太郎さんや「食べチョク」秋元里奈さんなどとともに「ヒーロー」と呼んでいます。

〈日経ビジネス / 2021年9月13日〉

出雲さんをこう評しています。

この方はミドリムシでジェット機を飛ばすんですから、すごいですね。着眼点も冴えてますが、泥臭い汗もかきます。米国のASTMという規格に合格しないと日本でもジェット燃料として認められないのですが、審査をしてもらうところまで辿り着くのに数年がかりの粘り腰の交渉をし、晴れてASTMの認める6番目のジェットエンジン製造法であるとのお墨付きを得たわけです。勝手に名前を出して、あとで叱られそうですね。でも出雲さんにはぜひ今日からYouTuberとなって発信して欲しいです。

しかし、日本ではこういった「ヒーロー」経営者に対する風当たりが強いと南場さんは言及されています。

つまり、「出る杭は打たれる」

ただ、同じ保守的だったフランスの10年前はまさに今の日本と同じだったそうですが、大統領就任前のマクロンさんなど若きリーダーたちがフレンチテック(フランス×テクノロジー)構想を推進。

ベンチャーキャピタルへの潤沢な資金の供給や、制度面の整備などが進みました。

今では海外からも起業家や投資家が集まり、ユニコーンの数も順調に増え始め、学生の7割が起業に関心を持つと言われるようになったというわけです。

いずれせよ、硬直化した日本経済において成長戦略分野の発展は大変重要になっています。

日本でもサステナブル意識の高い世代から、新しいスタートアッパーが多く生まれる未来になると良いですね。

難民受け入れが成長戦略に?

最後は緊迫しているアフガニスタン情勢ですが、経済産業省元幹部官僚である古賀茂明さんは、難民受け入れの拡大は「日本経済の成長戦略」になると語っています。

〈週プレNEWS / 2021年9月10日〉

週プレの記事でこのように考えを展開されています。

難民には優秀で活動的な人も多い。特に、内戦などが始まった初期にいち早く自国脱出を決断したような人々は教育水準も高くITを活用した情報収集能力もあり、移住先の国でも活躍できる特殊技能や、生活に不自由しない金融資産を所有している可能性が高い。

実際、ドイツは6年前に、シリア人を中心に89万人以上の難民を受け入れましたが、人道的取り組みであるとともに、実はその裏で自動車業界などが強力に受け入れを主張。

つまり難民を「成長戦略の柱」の一つにしたのです。

もちろん、受け入れ方については、熟慮が必要だとは思いますが、古賀さんの考え方は一つの可能性を示唆しているとは思います。

最近、利他主義という言葉がよく聞かれますが、世の為、人の為が、結局は自分のためになることを改めて考えていかなければならない時代ということは間違いなさそうです。

ちなみに企業の利益社会の利益両立を追求した新・資本主義として「スタークホルダー経済」という考え方が重要視されています。

先週のセミナーについては、まさにこのテーマで講演をさせていただきました。

〈文化経済研究会第3部 / YouTube〉

有料セミナーなので、ゲストスピーカー2名のお話は載せられないのですが、私の講演部分だけでも、もしご興味があれば、ご覧いただけると幸いです。

よろしくお願いいたします!


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