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哲学のかけら

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哲学も少しはかじっています。なにもそんなこと考えなくてもいいんじゃない、と言われるところも、でもさ、と考えてみる、それが哲学。独断と懐疑に終わらずに常に自分の至らなさを認めるあた…
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#倫理

猫の写真家に

猫の写真家に

猫の写真家の本に対して、吠えている書き込みがあった。この写真家は汚い猫の写真を撮らないが、世の中には傷つき病気になり死んでいく猫がいることを知らないのか、そのために尽力しないで自分だけ猫の写真で金儲けをしているのはけしからん、というのだ。どうも、このような考えを呈する人は時折いるようで、ちょつと検索すると、ブログなどでも複数見かけた。
 
私が猫が好きだから、というわけでもないし、その写真家の写真

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『聖書を読んだら哲学がわかった』(MARO・日本実業出版社)

『聖書を読んだら哲学がわかった』(MARO・日本実業出版社)

著者の肩書きは表紙に書かれている。「上馬キリスト教会ツイッター部」である。いま一時の勢いは静かに落ち着いたようだが、それでも10万人を越えるフォロワーがいるツイートというのは、キリスト教関係では異例である。つまりは、クリスチャンでない人にたいへんな支持を受けているということだ。
 
それは、キリスト教らしからぬ、おふざけと、若者の感覚のツボを突いてくる、気取らない呟きなのである。教会そのものは、極

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『試験に出る哲学』(斎藤哲也・NHK出版新書563)

『試験に出る哲学』(斎藤哲也・NHK出版新書563)

凡そくっつかない言葉がつながっているように見える。「哲学」が「試験に出る」というような利点を探す語の制約を受けるのは、どうにも似合わない。知識をお持ちの方は、ソクラテスないしプラトンが徹底的に敵対した、ソフィストたちのやり口を真似するつもりなのか、と憤るかもしれない。
 
著者自身も、その辺りを気にしている。しかしこれはなかなか良い企画であると私も思った。
 
大学入試のセンター試験はその名をすで

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