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哲学のかけら

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哲学も少しはかじっています。なにもそんなこと考えなくてもいいんじゃない、と言われるところも、でもさ、と考えてみる、それが哲学。独断と懐疑に終わらずに常に自分の至らなさを認めるあた…
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2022年9月の記事一覧

『「美味しい」とは何か』(源河亨・中公新書)

『「美味しい」とは何か』(源河亨・中公新書)

サブタイトルの「食からひもとく美学入門」は、まだよかった。帯に「ラーメンは芸術か?」と書いてある。これが一冊を貫いているところにまでは、読む前には気づかなかった。とにかく、ラーメンで話を押し通すのである。ラーメンに関心のない人は、読むのが辛かっただろうと思う。
 
議論は読みやすい。何が論点であるか、それに対して自分はどう思うか、これについて明確に打ち出していくからだ。新書もここまできたかと思わせ

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『現代思想2022年8月 vol.50-10 特集・哲学のつくり方』(青土社)

『現代思想2022年8月 vol.50-10 特集・哲学のつくり方』(青土社)

面白かった。そもそも哲学とは何か。そんなベタなことを問う企画が、近年殆ど見られなかった。あるのは、100年前に生まれたような方々の、真面目な人生論が問いかけて、哲学とは、と語るようなものばかりだった。ポストモダンすら歴史的産物となったような中で、もはやかつての哲学などという姿とは無縁な思想状況となっているようだ。互いに通じない言語を用いてあれこれ論評するかのようなものが、なんだかファッショナブルに

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読書の契機と今後

読書の契機と今後

中学生のとき、数学が面白かった。それで、大学でも数学を学ぼうと漠然と考えていた。だが、勉強以外のことに熱を入れたこともあり、数学というものをそれほど真剣に考えていたわけではなかった。数学科を受験したが、かなわなかった。当然だったと言える。
 
その頃、哲学という分野があることを知った。いや、自分の関心のあることが、ひとつの学問として存在しているということを知った、と言ったほうがよかった。なんと知恵

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