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物語を読まない人は未来を語れない | タイムマシンの作り方

こんにちは@tateshina_lifeです。

今日は物語を読むことの重要性について書いてみます。

仕事やプライベートで色々な人と接していると、この人は物語を読んできていないんだなと感じる人がいます。僕の実感としての割合で言うと80%くらい、結構沢山います。

仕事で提案している時、プライベートで大きなライフイベントについて相談がある時など、何かの目標や対象について話をしている際に、その内容が機能・実用的なもので、かつ時間的な広がりが2, 3年にとどまるので、すぐに分かります

欧米人やアラブ人をよく知ってる訳ではありませんが彼らにとっての物語は身近にあります。宗教です。経典があり、厳しい歴史をくぐり抜けてきた建造物があり、伝承の担い手としての教会や両親・親族がいます。

大きな時間の流れを物語として体験し続けることによって、自分が大きな物語を生きていること、自分にも小さな物語があることを知ります

ですから彼・彼女たちは短期的で機能・実用的なものを長期的で感覚・感情的な時間的流れの中に浮かべて、選択や判断をすることができるのです。

欧米からは次々と新しいサービス、今風に言えば体験が登場し世の中を席巻していきます。仕事のツール、買い物、音楽、映画やドラマ、自動車も含めて、私たちが自身の時間の大部分を割いて使っていたり、憧れたりしているものです。

一方で現在の日本からは世界を席巻するようなサービス、体験は生まれてきません。

国内ではリスクマネーが供給されるようになり、多くのベンチャーが生まれてきましたし、自分のその中に身体の一部を置いていますが、見る限り長い時間軸の中で大きな物語を語る人に出会ったことがありません

中国も同じです。中国は人口規模が大きいので世界的なブランドが生まれやすくなってきてはいますが、中国人以外に共感を持ってプレミアムを払ってもらえるようなものは自分が知る限りにおいて出てきていません。

壮大な物語を謳うものはなく、実用性やコストパフォーマンスが重視されています。本人たちもよく分かっているようで、ブランド=歴史は欧米からM&Aをすることで手に入れようとしています。

スティーブ・ジョブスは大学時代に大企業の就職に繋がる人気の授業に飽き飽きとし、LSDで幻覚の世界に入り、カリグラフィと出会います。カリグラフィの美しさに心を動かされた彼は、ヒッピーカルチャーの後押しもあり、心の世界を探求します。インドの神秘や日本の禅に触れることになります。

彼に会ったことはありませんが、恐らく10年どころか20, 30年いや50年先の未来が見えていたのだと思います。その時代に必要とされる機能や実用性というよりは、生きる人々や、彼・彼女が持つ価値観、美意識が物語として生き生きと描けていたのだと思います。

ですから彼は”現在において”妥協しません。現在を生きる人々とは軋轢が生じます。生きている世界が違うからです。50年先の未来から来た人と話すのですから

結果として彼は偏執狂的な性格として捉えられ、経営者失格の烙印を押されるのですが、プロダクトやサービス、体験は”現在の”世界を席巻します。

50年先の時間を生き生きと描くための想像力は物語によって身につきます(LSDをやれと言っている訳ではありません)。

物語は時間を描きます。例えそれが1年の話であり、状況もほとんど変化しない内容であったとしても、読み手がその世界に入り込む時点で"現在"から隔絶されたパラレルワールドを生きることになります。

あくせくとして余裕のない”現在の自分”から、永遠に変化が訪れない悠久の"誰かの現在”に成り代わることで、時間の流れについて想像することができます。

このまま何も変わらないのだろうか…それとも昨日より今日とうもろこしの背丈が1cm伸びたことが未来への希望なのだろうか…。

もちろん自然科学や哲学、生物学などの本でも構いませんが、並行してでも構わないので文学小説を読んでみてください。時間の中で人の行動、価値観、心(感情)がどう変わっていくのか、変わらないのか、を体験することです。

頭の中にパーッと絵が広がっていきます。得も言われぬ感情が自分の中から湧き上がってきます。その感覚を大事にしてください。何度も何度も草食動物がそうするように反芻して味わってください。

時間という概念がなくなっていきます。

タイムマシンは誰でも手に入れられるのです。

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