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診察ノオト 完結編2/3

前回はこちら。

診察の本質

患者さんが医師の説明を理解して納得すること、それが診察の本質です。それなのに理解が不十分なまま帰宅されてしまうと、患者さんにとっても医師にとってもよくありません。

驚愕の理由

ところで、【診察ノオト】の記事の中で“驚愕”と表現しました。

理由は、アプリでの録音・反訳の精度次第では、そのまま訴訟資料に使えてしまうのでは?そんな意図はなくても結果として助長してしまうのでは?「診察中の会話や診察内容の記録用」として第三者が提供するとは、なんてchallenger!と思ったからです。

録音の意味

私が考える録音の意味、必要性は次の2点です。

◯診察後(なるべく当日中に)ご家族と情報共有するため
→自宅では冷静になれて正確に理解できたり聞き流したりした内容にも気付けます。

◯次回の診察前日に記憶を喚起するため
→翌日の診察で質問したいことをまとめる機会にもなります。

ちゅらさん

録音の許容性

まず結論として、録音は許容されます。
医師が録音の申し出を拒絶するのはちょっと無謀です。

形式的には、病院側の「施設管理権の行使」と患者側の「説明を受ける権利」との対立の場面です。

もっとも、「インフォームド・コンセント」が特に重視される現在において、聞く・書くだけでなく録音も「説明を受ける権利」に含まれると考えられます。

よほど特殊な事情がない限り、診察中の録音規制は「施設管理権の行使」の逸脱濫用となってしまう、という見解でほぼ一致しているでしょう。

※より詳しい法律論を知りたい方は、たとえばこちらがわかりやすいと思います。

※「MSDマニュアル」は、病気全般について調べるのにとても便利で信頼もできます。家庭版とプロフェッショナル版があります。


現実の診察室

実情としても、スマートフォンの普及で録音しやすい環境は整っており、(医師にひと言伝えているかは別として)録音している患者さんは増えると考えるのが自然です。

録音されているかもしれないという意識で、医師も普段から診察しているはずです(とはいえ、いざ録音していいですか?と言われると、普段よりやや不自然にも…)。

その意味では、病院側が録音について一定のルール等を掲示していたとしても、患者・医師間には黙示の了解があるといえるかもしれません。かりにそこまではいえなくても、無断で録音されていたら医師は気付けません。

もっとも、医師との信頼関係構築・維持をすべく、ある種の「礼儀」として録音前に直接医師に確認している患者さんもいらっしゃいます。

そんな風にバランスを取ってきたのが実態なのかなと思います。

「診察ノオト」も、医師に録音の許可を得るようユーザーに求めています。さらに録音時にも“同意を得たうえで録音を開始してください”とのポップアップと併せて、「利用規約」のリンクも同時に表示される仕組みです。

かなり入念で慎重な対応に思えます。

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