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わたしの我儘

もしも わたしが死んだら 

花になりたい

貴方の花瓶に居座って

愛してもらうのさ

いつか わたしが萎めば

ゴミになりたい

貴方の愛を抱きしめて

燃やされたいのさ

そして 貴方は

他の人を愛せばいい



昨日考えていた事がある。

自分が死んだ時に何を望むだろう?

残された人々の幸せだろうか。
勿論人々の幸せも祈るだろう。

ただ、僕は我儘な男なので、こう思った。
 
「最後くらい、懐かしんで、愛してくれないか。」
 
気持ちの悪い奴だな。と苦笑した。
 
少しの間だけ僕の我儘に付き合ってもらって
その後、僕を忘れて幸せになってほしいと。
 
芸能人みたいな大きな棺桶はいらないし
有名人のお別れの言葉もいらない。
 
天に召される迄の短い間
大事に扱ってほしいだけ。
 
葬式があるじゃないか。
 
ただ、貴方は出席しないかも知れない。
貴方は忙しさに混乱しているかも知れない。
悲しみで慟哭しているかも知れない。

葬式後、本当の別れの時間があって欲しい。
 
僕の中で一輪花と、この感情が重なった。
 
お気に入りの花瓶に居座っていたい。

ずっと見ていられるから。

一輪花は花瓶の中で大事にされる。
 
水も小まめに変えてもらえるし。
茎も毎日切ってもらえるし。
愛情や存在の肯定を毎日少しだけ。
 
花びらが1枚落ちる度、別れが近づく。
この落花が益々時間を愛おしく思わせる。

潔くゴミになりたい。貴方が忘れられるよう。

不慮の事故で亡くなった人の気持ちも含んでいる。
 
そして、愛を連れ立って、燃やされる。
 
安心して、旅立つことが出来るだろう。
 
その後、他の人と幸せになってほしい。
 
そんな事を考えた僕は
詩の原型を口ずさんでいた。
 
いつか 私が枯れたら

ゴミになりたい

当初はこう書いたが辞めた。
 
枯れる前にゴミになりたいから。
 
僕は自身の情けない部分を見せたくないと
本心では思っているのだろう。変わらない。
 
例えば、会社を辞める事を考えた際には
 
「失望されていないうちに辞めよう。
 自身を惨めに思う前に辞めよう。」
 
そんな事が頭によぎってくる。

目指すべきものが分からなくなり
興味と共感が遠ざかっていった。
 
ご迷惑をお掛けする事もあったが
花が咲いていた時間はあったと思う。

※自慢に聞こえたら、すみません。
 
花びらが少しでも残っている間に
お別れしたいと思うのだ。
 
惜しんでくれる人がいる間に。
 
完全に枯れて動けなくなる前に。
 
花びらの残った状態で一回燃やされて
別の場所で花を咲かす事もこれから考えたいと思う。
 
だから、僕は枯れてゴミになりたくなかった。
 
最後の別れだって、綺麗な感情を残して去りたい。
花になったって、萎み始めるぐらいで去りたい。
 
プライドを持った弱い人間。

わたしの我儘、別れの美学。
割り切るべきか、変わるべきか。

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