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【365日のわたしたち。】 2022年4月20日( 水)
「人を好きになったことがないんだよね〜」
高校時代によくそう口にする友人がいた。
ボーイッシュで、髪の毛も少し刈り上げているような感じの彼女は、女子の私から見て、とてもかっこよかった。
うちの高校は女子の制服がスカート指定だったのだが、彼女はスカートを履いていることもあれば、下にジャージを履いていたりすることもあった。
男の子っぽいなぁ、と感じところもあるのに、さらっと膝下丈のスカートを履きこなす彼女に女性らしさも感じて、なんだか不思議な魅力を纏った人だと思っていた。
「なんか見ててドキドキするとか、そういう人はいないの?」
私は彼女に尋ねる。
「いや〜、いないね!男子ってなんかガキじゃん。全然ときめかないね!」
そう言ってガハハと笑う彼女。
「どっちかって言うと〜、女の子の方が綺麗だなぁって思うかな〜」
そう言って、彼女は私の横髪に手を伸ばし、ゆっくりと耳にかけた。
突然の行動にドキッとしてしまい、顔と耳が真っ赤になる私。
そんな私を見て、「ドキドキしたぁ?」と彼女はにっこり笑いかけてきた。
そんな彼女とは、大学に進学した後もポツポツと連絡を取っていたが、彼女がNYに行ってしまってからは、ほとんどお互いに連絡することはなかった。
それでも、facebookの投稿で彼女の近況は知ることはできて、NYでアーティストとして活躍しているらしいことはわかった。
好きなことができていいな、そう彼女の生活を遠くから眺めるのが、時々の楽しみだった。
そんなある日、彼女のfacebookのページの画像が変わっていた。
それは女の子と二人でキスをしている写真。
そして「I love you!!!」と書かれた文字。
最初はびっくりしてしまったが、彼女の高校時代を思い返すと、まぁ彼女ならありうるか、とも思い直した。
むしろ、「人を好きになったことがない」と言っていた彼女が、「I love you」を伝えたいと思える人に出会えたことがとても微笑ましかった。
彼女の世界は、facebookで見えるよりもずっとずっとずっと、遠くまで広がっていっているのだろうと感じた。
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