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茶ノ湯の掛物;016 花開萬国春

花開萬国春
はなひらくばんこくのはる

『臨済録』行録
「野老拈花萬國春」

到大慈。慈在方丈内坐。師問。端居丈室時如何。
慈云。寒松一色千年別。野老拈花萬國春。

寒松 とは冬の松で、野老は田舎の粗野な老人だそうです。

花開萬国春
はなひらくばんこくのはる

まさに、春爛漫といった趣でしょうか。
以前ご紹介した「一花開天下春」に似ているように感じます。

こういう見るからにハッピーそうな禅語には、
実はとても厳しい教えが隠れているといういつものパターンでしょうか。^^;;

天下の春(悟りの境地)に至るには、花開かなくてはなりません。
どうすれば花開くのでしょうか。

桜は「休眠」「休眠打破」「生長」という過程を経て開花へ進むようです。
ソメイヨシノは以下のような条件が必要のようです。

①【秋に休眠状態入る】
②【冬に2~12℃の間で800時間以上経ち休眠から目覚める。】
③【開花の準備】
④【最高気温の合計が540℃で開花】

つまり、、、
「花開く」には

「冬の低温(寒さ)」
「春の気温上昇」

が必要になるということです。

冬の休眠状態はいわば修行期間。
この時にしっかりとした寒さの中に身を置かないと花開けない訳です。

そして、春の気温上昇。
これは、ある意味では悟りの始まりなのかも知れません。
自分を取り巻く外環境は、実はこんなにも恵まれていたことに気づき、
悩みや迷いは、ただ自分の脳内で発生した欲によるものだったと気づくことが大切なのかもしれません。。。

これも、言葉にしてわかったような気がするだけで
これを感覚として体得するまでにはやはり、
日常生活の中で、自分を律しながら地道に歩んでいいくことしかないのかもしれません。。。

暗く辛い道こそ、胸張って笑顔で闊歩していきたいものです。
いつの間にか、風に乗って桜の花びらが舞ってくるかもしれません。

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