茶ノ湯の掛物;012 一花開天下春
一花開天下春
いいかひらく てんかのはる
「虚堂録」
南宋末の禅僧、虚堂智愚(1185-1269)の語録。大応国師南浦紹明の師に当るので、語録は出版と同時に日本に伝わり、さらに宋版に漏れた作品と「行状」を合わせて覆刻されました。
以前メモをしました「一華開五葉」に似ているような印象を受けます。
また、「梅一輪、一輪ほどのあたたかさ」も連想されます。
「一花開天下春」
一つの花が、天下の春を告げているという様子でしょうか。
達磨大師の伝えた禅が、広く花開くという解釈もあるようです。
お茶をする人として解釈すると、
利休さんが大成した侘茶の心が、広く世界に春を齎せたと考えたいです。
花は、自ら散ったのち、
500年近くたった今も私たちが茶の湯の道を探求していることは、
やはり、すごいなあ、と思わずにはいられません。
天下に春を齎そうと、
我のままに働きかけるのではなく
自分の目の前のことに集中して、
その小さな花を咲かせる
そういうことが、各々に叶えることが出来れば、
きれいごとでなく、本当に、
この世の中に「和」が満ちることも
もしかしたら、
できるのかもしれないと、
本気でそう思っております。
そして、そういうことに気づかせてくれることが
現代に茶の湯が残る、
ひとつの意味なのかもしれないと
そう思いたいのです。
外にでると、さあっと爽やかな黄色い風が吹き、
よくみると、もう見渡す限りに小さな春が訪れています。
青い空は、凛と澄んで
羊雲は、静かに揺れる
花咲くを待つ喜びを
分かち合えるのであれば
それは幸せ
本日は3月9日。
山梨県が誇る藤巻亮太さんの歌を引用させていただきました。
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