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素敵な先輩が、会社を辞めた。

素敵な先輩が、会社を辞めた。 この人は、会社の「要」にいた人だ。それはビジネス上でもそうだし、人と人の繋がりという意味でもそうだし、会社の雰囲気という意味でもそうだった。 総務人事やITといったバックオフィス系以外で唯一といっていいくらい、会社のほぼ全ての人と絡む、そういうロールに就いていた。40弱-50人強で推移する会社の中でもこのチームは多くても三人、少ないときは彼女一人の所帯だった。会社のビジネスは長らく二つの軸を持っていて、そのうちの一つの、運営上の肝のところを握る

    • 「人間味のあるオートメーション」

      「AutoStore」をご存知だろうか。同じ大きさのコンテナが横(Width)・奥行き(Depth)・高さ(Height)の三次元で部屋いっぱいにキレイに積まれているのをまずは想像してほしい。上から見て、将棋の表現でいえば例えば「5三」のマス目の上から二つ目のコンテナを取り出したいとする。まず、「5三」の垂直な列の中で一番上のコンテナが上面に移動して少し横にずれて待機する。次に、上から二つ目の目的のコンテナが上面に出て、ピッキング箇所まで移動される。「5三」の最も上にあったコ

      • タイパとスクリーンタイム

        ここ一年ほどで急速に「タイパ」という言葉を目にする機会が増えた。「タイパ」はタイムパフォーマンスのこと。Z世代の特徴として日経で取り上げられることが出てきて、いまでは世代に関わらず、そして時には単に「コスパ」や「時短」の言い換えにも感じるような形での使用例もあちこちで見るようになった。 動画の倍速視聴が好例とされる。他にも歌のイントロが短くなっていることやファスト映画、文字から動画への情報摂取手段の移行(特にショート動画)もよく例として挙げられる。何もかもファストになってい

        • 生年月日の近い同僚が、会社を辞めた。

          誕生日が数日違いの同僚がいた。それはクリスマスから元日までの間だという時期だけでなく、年まで一緒であった。生まれた日が数日違いだった。驚くべきことに、社会人人生において人はそれだけで急に親近感を覚えてしまう。 僕が転職してきて数か月後に、彼は隣のチームに転職してきた。この彼と同じチームだ。 コミュ力が高く快活な人が多いオフィスの中で、根暗で誕生日をクリスマスや正月と一緒にされがちだった僕たちには、変に通ずるところがあった。違うのは、彼の履歴書はピカピカだったことだ。新卒で

        素敵な先輩が、会社を辞めた。

          同僚が、会社を辞めた。(あるいはエイリアン論)

          同僚が、会社を辞めた。 会社では三年以上先輩に当たり、学年では二つ下の、お互いに三社目として入った会社の同僚が。転職組には社歴も年齢もあまり関係ない。彼は、新型コロナで自宅勤務となるまで、よく昼を共にするメンバーの一人だった。友人というのが一番近しい表現かもしれない。彼は隣の部署で、僕と近いような遠いような仕事をしていた。大きな括りでは同じだったけれど、求められるスキルはかなり異なるし、負荷のかかり方の波やプレッシャーの質、プロジェクトにおいて深く関係する人間の多さも相当に

          同僚が、会社を辞めた。(あるいはエイリアン論)

          がんばれエアコン、信用させてくれ

          エアコンが信用できない。部屋を均一に温めて/冷やしてくれていると思ったことはないし、夏にドライをかければピチャンピチャンと音が鳴り、冬に暖房をかければみるみると乾燥する。きっと、エアコンは悪くない。長年の間に少しずつ刻まれて大きくなった不信感がバイアスをかけているのだ。ドライで水の滴る音がするのは除湿できている証拠だ。暖房時の乾燥が嫌なら、加湿できるモデルを買うなり加湿器を併用するなりすればいい(*1)。多分、使い方も悪いのだ。夏は冷房にすべきかドライにすべきかわからない。冬

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          アイスの実に敬意を表して

          アイスの実ばかり食べている。 2月下旬に全面的に在宅勤務となってから、アイスの消費が確実に増えた。その8割が、アイスの実だ。10年くらい、食べていなかったかもしれない。ピンクグレープフルーツ味を見つけた僕は、何とはなしに一袋、アイスの実を買っていた。果汁30%なら結構うまいのでは?その気軽な気持ちがはじまりだった。 アイスの実、こんなうまかったか?それが最初の感想だ。パッケージにある「ジェラート」の表現に恥じず、フルーツを気持ちよく感じられる。フルーツ以外の余計な甘みが抑

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          初めての二郎というアトラクション

          健康とは真逆の食べ物として名が挙がってくるものの一つにラーメンがあるだろう。中でも食欲を、胃を、暴力的に満たすということに特化しているラーメンの代表格が、二郎だろう。 僕はラーメンが好きだ。だいたいどんなジャンルでも好きだが、一番好きなのは淡麗系スープと細麺のコンビネーション。これまでに泣きそうになったラーメンには、自由が丘の『いちばんや』や渋谷の『はやし』などがある。ジャンキー(というと怒られるかもしれないが)なものも避けてきたわけではなく、東大宮に住んでいたころは『ジャ

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          風が吹いて桶屋が儲かるように、自然気胸になって大学を辞めた話

          これまでに二度、入院したことがある。小二のときの一度目の入院はほとんど覚えていない。そもそも小二の時の記憶自体がほとんどない。二度目は19の時だ。これは覚えている。 自然気胸、聞いたことはあるだろうか。珍しい病ではない。芸能人でいうとナイナイの矢部っちや嵐の相葉くんも経験がある。のっぼで痩せている男性に圧倒的に多く発症する。それを聞いた時、どんぴしゃだと思った。気胸というのは肺に穴が開くことだ。事故など外的要因で開くこともあれば、通常生活の中でピッと破れてしまうこともある。

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          苦手なセミと、好きなセミと

          玄関の目の前に、セミがひっくり返っていた。 僕の実力ではミンミンゼミなのかアブラゼミなのかナニゼミなのかわからないが、これを安易に扱ってはいけないということはわかる。経験的には半分以上の確率で、こいつはまだ生きている。触れると力を振り絞って飛ぶのだ。それも、残りの力が少ないから低空飛行になることが多い。ゼミの低空飛行は恐ろしい。顔の近くなど飛ぼうものなら身体はビクゥッと震え、肩はすぼみ背は丸まり、顔は引っ込み膝は内を向き、上目遣いで必死にヤツの第二波がないことを確認すること

          苦手なセミと、好きなセミと

          今日も歩くよ青梅街道

          家の近くに、青梅街道が走っている。道路名を記した標識に、こうあった。 Ome-kaido Ave. Ave. つまりAvenueは、「大通り」だ。 A broad road in a town or city, typically having trees at regular intervals along its sides. 市街にある、幅の広い道。街路樹が植えてあることが多い。(著者訳) Ome-kaido Avenueとは「頭痛が痛い」みたいなやつか? と思

          今日も歩くよ青梅街道

          同期が、会社を辞めた。

          同期が、会社を辞めた。 同期といっても、お互いに転職組で、入社時期には一か月の違いがある。でも同じチームで、入社時期が一番近く、新しいロールに対してバックグラウンドが白紙という共通項があり、何より気が合った。ずっと同期と思ってきたし、ライバルのようにも思っていた。同期というのは幼馴染とも、中高のクラスメイトとも、大学の友人とも異なる、不思議な関係だ。しいて言えば塾の友達に近い。同じ目的を持ち、同じ環境で成長しながら、ライバル関係にもある。 会社を辞めたといっても、ポジティ

          同期が、会社を辞めた。