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生年月日の近い同僚が、会社を辞めた。

誕生日が数日違いの同僚がいた。それはクリスマスから元日までの間だという時期だけでなく、年まで一緒であった。生まれた日が数日違いだった。驚くべきことに、社会人人生において人はそれだけで急に親近感を覚えてしまう。

僕が転職してきて数か月後に、彼は隣のチームに転職してきた。この彼と同じチームだ。

コミュ力が高く快活な人が多いオフィスの中で、根暗で誕生日をクリスマスや正月と一緒にされがちだった僕たちには、変に通ずるところがあった。違うのは、彼の履歴書はピカピカだったことだ。新卒で入った企業、そこで何年も経験した職種の貴重さ、そして輝くあるキーワード。なんでうちの会社に? と疑問を覚えてしまうほどのピカピカ具合だった。その疑問をぶつけた見たこともある。彼は自分の人生のロードマップをしっかりと見据えていて、今後に必要な経験を得るためにここに来たと言っていた。

「自分」に対してそういった考え方ができない僕にはその思考回路そのものが眩かった。そして有言実行というか、彼は早くに力を認められ、いわゆる炎上案件を回収する役割を引き受けることも何度かあり、傍から見ていても経験と実力をぐんぐんと積んでいることは明白だった。

Excelに強かった彼には、何度か仕事の上でもお世話になった。そこで見たのは知らない関数を見たこともないくらいに長く組み合わせて、統計データなどをサクサクと見やすい形に整えていく姿だった。「こういう感じで大丈夫ですかね?」自信なさげに言う彼のアウトプットはいつでも期待を越えていた。僕からアドバイスできることなんてほとんどないのだが、その数少ない一つが「もっと自信をもって」ということだ。大丈夫どころじゃない、超大丈夫です。

入社して三年が経ち、少しずつ膨らんでいた不満にとどめを刺す出来事もあり、彼は転職を決意し、とてもスピーディーに鮮やかに転職を決めた。当初はもう少し長くいるつもりだったということだが、「なんでうちの会社に?」への回答をいまや持たないこともあり、彼の実力と履歴をもってすれば、当然の結果であった。

同期の転職からほぼ一年。

近しい同僚の転職エントリを一年で三つも書くのは複雑な気持ちだが、今回も気持ちよく送り出したい。

生年月日の近い同僚が、会社を辞めた。じゃあね、また今度。

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