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スペイン語の中のアラビア語
僕がスペイン語の中にアラビア語由来の語彙に魅力を掻立てられるのは、それが本来ロマンス系の言語とは交わるはずのない異国の言語である以上に、民衆の口に膾炙し使われ続けたという事実があるからだろう。例えばそれは、近代になって西洋の概念を漢字で表すために作られた造語とは違って、もうどういう風に人々に認知され、浸透していったか分からないが確かに人間の往来や知識の伝達があったことを教えてくれるからだ。
ア
自由、liberty、freedom
『自由』とは、実に不思議な因縁にあふれている語彙ではないか。
シュメール語にamagiという言葉がある。人類最古の自由は何より、「負債のない状態」「奴隷ではない状態」という意味から始まった。自由人という身分が存在した社会ならではの発想だ。
奴隷から『解放』された状態――ラテン語の形容詞liberがちょうどそれに当てはまる。そしてそこからlibertas、英語のlibertyが生まれてくる。
キリスト教はヨーロッパの宗教ではないという話
キリスト教はヨーロッパの宗教だという話はよく聴く……が、これはかなり西ヨーロッパ以外のキリスト教徒たちにとっては迷惑な話ではある。
一般的な理解では、ローマ皇帝のテオドシウスが380年二月二十八日、法令によりローマを国教化して、ヨーロッパにキリスト教が広まる端緒を創ったとされる。
だが実は、それより百年ほど前にアルメニア王国がすでにキリスト教を国教化していた。そしてそのために東の国境を接する
外国語チャンネルのすすめ~NativeLangやAcademia Playなど~
Nativelangという世界中の言語について解説している動画チャンネルがすごい。
僕は学問関係の動画で外国語のチャンネルをよく見るんだけど、その中でもこれはかなり見ごたえがある。
英語から、アメリカ大陸の先住民の言語まで、その歴史と特徴を独特な絵を交えて解説してくれる。一番見ごたえがあったのは、『北アフリカで話されていたラテン語のその後』ってやつだ。
ローマ帝国の領土が地中海全体に
Non angli, sed Angeli.
「アングル人ならずして、天使なり」(教皇グレゴリウス一世、約540年生誕、604年三月二十九日死去)
六世紀までケルト人が住んでいたブリテン島に、大陸側からアングル人やサクソン人、ジュート人といた異邦人が攻寄せて定着したことは歴史をかじった人間ならすぐ分かるはずだ。今みたいに英語というブリテン島に定着したのは実はそう昔のことじゃない。言語ですらお互いに通じないもののごった煮なのだし、当然人の外