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昨日のあれは10年越しのラブレターだった【踏青工作室の問わず語り】

こんにちは!踏青工作室です。
皆さんには「推し」がいますか?私は、昨晩開催されたイベントで自分の「推し」と言葉を交わす機会に恵まれました。私の「推し」は台湾の沢の神、ジャスミン(李佳珊)です。

私は、10数年前にあった富士山ブームの頃に山登りを始めました。山登りは楽しく、また大変幸運なことに仲間に恵まれ、一歩ずつレベルを上げていくことができました。

ある年、私は人生で初めて沢登りに行くことになります。そこは美しさで天下に名高い「赤木沢」という名渓でした(北アルプスの黒部川源流域)。私はその美しさに心を奪われ、その時から沢登りに傾倒していきます。身近なところで沢登りができる丹沢(神奈川県西部)をホームにしていました。

沢登りというスタイルは絶滅危惧種と言われて久しいのですが、そんな中、素晴らしい記録を出す「大西良治」という沢の神とでもいうべき、そんな方がいることを知りました。大西さんは私のような万年初級沢屋には想像もつかないような滝を単独で登攀してしまうのですが、その頃の私は、恐れ多くも神からある種のモチベーションをもらっていたような気がします。


そして、その瞬間はやってきました。大西さんが台湾の沢を遡行された記録を目にしたのです。とんでもないゴルジュ(幅の狭い谷)でした。そしてそこに名を連ねていたのがジャスミンでした。

台湾にこんな沢があるなんて!日本の名渓すらろくに遡行していない(遡行できる力がない)のに、雷に打たれたように、私も台湾で沢登りがしたい!と思ってしまったのです。

台湾の沢の情報がほしい。必ず初級でも行ける沢があるはずだ。海外の沢を遡行している同人(グループ)があるのは知っていましたが、そこに顔を出せるほど自分の実力があるわけではなく、自分で探すしかないと腹をくくりました。

以来、10年の時間が流れました。遠回りだったと思いますが、このようにしか私にはできませんでした。ただその間には、苦心のかいもあって、何度か台湾の簡単な沢で遊ぶことができました。(その話はまた別の機会にでも)


昨晩のイベントは、大西さんやジャスミンが、この3月にニュージーランドにキャニオニング遠征をした報告会でした。

イベントが始まる前、ジャスミンが一人になる瞬間がありました。あんなに(私が勝手に)探していたジャスミンが。私の中ではいつの間にか、台湾の沢の象徴がジャスミンになっていました。しどろもどろになりながら、話しかけます。伝えたいことはいろいろ出てきたのですが、イベントが始まってしまいました。話の続きはFacebookでとなり、友達申請することになりました。

友達申請の文章を書いては消し書いては消し。最後に私は「いつの日かあなたに会いたいとずっと思ってきたよ」と書きました。それをまた何度も読み返し読み返し。もういい加減、送らないと。ためにためて、それから、えいと送信ボタンを押しました。指先からあっという間に飛んでいった、10年越しのラブレター。


ジャスミン(李佳珊)は、台湾の沢・キャニオニングの第一人者です。台湾のテレビの取材を受けた際の記事はこちらをご覧ください。

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