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そよぐ風や波がもたらすもの

当時 mixi に書いた文章をnoteに載せてみたくなりました。
※今まで書いた中で一番長い文章。ゆっくり時間をかけて書き上げました。

=2009.08.17の日記=
「そよぐ風や波がもたらすもの」

私たちにできることは何なのか 何をすべきなのか、一度そんなことをきちんと考えてみたいと思っていました。そんな時思い出したのが『ペイ・フォワード』という映画。何かヒントがあるかもしれないと思って見てみました。

世界を変える方法を考え それを実行してみよう!

これが主人公のいる中学1年生のクラスで出された社会科の課題。主人公のアイデアは恩送り(ペイ・フォワード)。恩を返すのではなく、別の3人に善意を施し、その3人がまた別の3人に・・と繰り返すことで、次々に善意を広げていくというものでした。このアイデアの結末がどうなったかは映画に譲るとして、もし自分がこのクラスの生徒だったらどう答えるだろうかと想像してしまいました。難しいけど 考える価値のあるテーマです。

世界を変える方法を考える前に、考えたいことがあります。それは世界を変えた後のこと。どのようになることが理想なのでしょうか。

悲しみのない世界、みんなが幸せな世界。これがたぶん一般的な理想のイメージだと思います。それは可能なのでしょうか?

幸福と不幸はどちらが多いか、考えてみたことはありますか?私はどちらが多いということはないんじゃないかと思います。誰かが幸せになれば、そのために不幸せになる別の誰かが出てくるかもしれません。絶対ではないけれど現実を見渡せば そんなケースがたくさんあるのではないでしょうか?

幸福と不幸の総和はゼロになるのか?一瞬だけを切り取れば、幸福が多い場合もあれば 不幸が多い場合もあるでしょう。でもそれは時間という流れの中の大きなうねりのようなもの。長い時間を俯瞰で見ることができれば、きっと幸福と不幸の総和は限りなくゼロに近づいていくのではないか、というのが私の考えです。

努力すれば 全ての人が幸福になれると考える人もいるでしょう。では人間以外の他の生物にとってはどうなのか? 地球にとっては? そう考えると みんなが幸せになるという考え自体にどこか無理があるような気がします。私たちは みんなが幸せになる方法がきっとどこかにあるはずだと信じてるけど、もしかするとそれは答えのない解を 一生懸命探しているようなものかもしれません。

何かをすれば 何かに何らかの影響を及ぼすのは必然。では 理想は「何もしないこと」なのか?それはNOです。

大きな幸福を求めれば どこかで不幸の帳尻が合わされる世界。だからといって それを恐れて何もしなければどうなるのか?そのことについて考えてみたいと思います。

何もしなければ何も起きず、それは波ひとつ立たない無風状態。心穏やかではあるけれども、ゆっくりと無に近づいていきます。生物であれば、それは死を意味します。私たちが所属している「地域」や「国」や「社会」だって同じことです。その中で暮らしている私たちが それらに対して何も働きかけなければ、いったいどのようなことが起こるでしょうか?

マッサージに例えるなら それは血行不良の状態です。体の中を血液が循環しなければならないのに、それがうまく流れない状態。私たちが行わなければならないのは マッサージをすることで血行を良くすることです。ここでいうマッサージとは刺激と言い換えてよいでしょう。私たちは「地域」や「国」や「社会」に刺激を与えなければいけません。つまり働きかけが必要なのです。そうすることで それらは健康な状態を保つことができるのです。

「地域」や「国」や「社会」を、ここでは「世界」という言葉に置き換えることにします。世界を健康な状態に保つために 刺激を与える「働きかけ」。それは世界を活性化させます。

ここで最初の課題に戻ります。

世界を変える方法を考え それを実行してみよう!

世界を変えるとは、世界を活性化させることだと私は考えます。それを実行する手段が「働きかけ」なのです。

何もしなければ何も起こらない、それでは意味がない。私たちがやらなければいけないのは、外の世界に向かって「働きかけ」をすること。何を「働きかけ」するかは、ここではあまり問題ではありません。なぜなら その行為自体が世界を活性化させるからです。

何を「働きかけ」するかは、人によって違うでしょう。ペイ・フォワードをしてもいいし、誰かに声を掛けるでもいい。何ができるのか 何をやりたいかで「働きかけ」の内容は変わってきます。でも・・

いつも正しいことをしなければ!と無理に思わなくていいし、
いつも善いことをしなければ!と無理に思わなくてもいい。

「働きかけ」をした結果が 幸せを招く場合もあれば、不幸せに見舞われる場合もある。だけど、その行為は確実に世界を活性化させます。活性化された世界とは、人間味あふれる喜怒哀楽に富んだ 生き生きした世界のことを言うのではないでしょうか。

私たちが恐れるべきは「無関心」。なぜなら、相手に対する関心がなければ「働きかけ」はできないから。

私たちが育てるべきは「想像力」。なぜなら、相手を思いやる想像力こそが「働きかけ」の原動力だから。

私たちが心に留めておくことは、外の世界に向かって「働きかけ」をするということ。もし どうしようか迷ったら とにかく一歩踏み出してみること。世界を変えるために実行することはたったそれだけなのです。

世界を変えるというと 大それたことのように思えます。確かにこの「働きかけ」が大きな力となることはないでしょう。なぜならこれは世界に対して小さな刺激を与えるようなものですから。その周辺が少し活性化されるだけ。それでいいのだと思います。それで充分。

「世界」とは「地域」や「国」や「社会」のことだけではありません。「友達」「恋人」「家族」など身近なものから「生態系」や「地球」などスケールの大きなものまで「世界」は存在します。つまり自分が所属してるすべてのものが「世界」なのです。

私たちはこの「世界」に対して そよぐ風や波のような存在でありたい。小さな力、でも心地いい風や波。そんな小さな風や波を起こせたら ほんの一瞬世界は少しだけ変わるのかもしれません。

(終わり)


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