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教員とICT支援員が連携してみた

 2023年の6月12日(月)に、日本教育新聞に「ICT支援員との協同」という趣旨の記事が掲載されました。

 現在の勤務校では、「Googleフォームを使った小テスト」の実施がだんだんと広がっています。それは「次回の授業時に、確認問題」として行う場合もあれば、「小テスト」として行う場合もあれば、「中間テスト・期末テスト」をGoogleフォームで置き換えている教員もいます。


●単元テストのメリット・デメリット

 単元テストという考え方は、麹町中学校で校長職に就かれていた工藤校長が当時紹介したこともあり、現場に浸透し始めている学校もあるのではないでしょうか。過去のインタビューで工藤校長は下記のように述べています。

従来の定期テストでは、教員が事前に出題範囲を明示していた。学園もののテレビドラマなどでお決まりのように使われる、授業で教員が「ここ、期末に出るからな」と言っている場面がまさにそれだ。出題範囲を明示しておけば問題を作りやすいし、評価もしやすい。でも今はそれをしていない。生徒たちに自律して、自分で学習の習慣を身につけてもらいたいから。テスト前だけ、一気に集中して良い点を取るためだけに勉強するのではなく、自分で計画を立てて学んでほしい。たとえば、とある教員の理科の場合、3年生では5単元の学びの範囲がある。それぞれが終わるたびに単元テストを実施するが、これだけでは範囲が広いので「小テスト」も設けた。1つの単元の中で3回程度、約10分の小テストを実施する。日々の授業で学んだ内容が自分の中に定着しているかどうか、生徒が実感を持って確認できるようにするためだ。ちなみにこの単元テストは、生徒自身の意志で「再挑戦」もできる。納得のいく点数が取れなければ、自己申告して再度受け直すことができるのだ。2回目で点数が上がれば、それが成績に反映される。そのため当初はほとんどの生徒が再テストを志願した。

(WedgeOnline ~「定期テスト廃止」で成績が伸びる理由。公立中学が挑む教育改革(12)元・千代田区立麹町中学校・工藤勇一校長~)

 これを読んで、イイナと思う一方で、「何度でも再挑戦するために授業中に時間を作らなければいけないのだろうか。そうではなくて放課後に時間を作るとしたら、教師はそれに毎回試験監督として時間を取られなければいけないのだろうか」ともやもやしたのを覚えています。おそらく、多くの学校も、「再挑戦まではマネできない(マネできたとしても1回だけ)」と、考えたのではないでしょうか。事実、「再挑戦が何度でもできる単元テスト」は、私が知る限りどこの学校でも実施していないように思えます。
 ここでGoogleフォームの登場でした。単元テストや試験の解きなおしをフォームで実施する。フォームの良さは、教員が立ち合い不要。再挑戦したい子は空き時間を使って挑戦すればよい。自宅で再挑戦する子がいたっていいだろう(カンニングなど、別の問題は生じるけれど)。そこで、ボクが勤務している学校では、Googleフォームを使っての小テスト、単元テストを実施する教員が増えてきた…というわけです。

 でも、紙に比べてラクとはいえ、何回も試験を受けたり、受験者が毎回異なる、試験回数が人によって違うと、フォームの集計も若干煩雑になります。生徒が挑戦する機会を増やした結果、教師の負担が増えてしまっては時代の流れに逆行しています。教師という職業の魅力も下がってしまう…。どうしたものか…。スプレッドシートの関数でなんとかいけそうな気もするけれど、そこを考える時間がない。知識もまだない…。そうやって悩む日々が続いていました。

●ICT支援員という存在

 そんな中、現在勤務している学校では教育委員会とICT支援会社が契約を結んでおり、「月2回程度の訪問支援」と「常時オンライン支援」がありました。でも、「ICT支援員なんて、ニガテな人をサポートするためにいるんでしょ」「それに、月2回だけ来てもらっても…。困ってるときに声をかけたいのに…」と思い、相談などするつもりもありませんでした。
 でも、職場体験という学習の際、ホームページを立ち上げて生徒の学習活動を整理しようとしたときにセキュリティの関係でどうしてもうまくいかないことがあったのです。ワラをすがる思いではじめて相談したところ、「お客様相談センター」みたいな相談とは真逆の対応、トラブルが解決するまで寄り添って継続的に支援してくれる対応に感動しながら危機を乗り切ることができました。
 「とても助かる!」と思い、今度は、「Googleフォームの集計を自動化・効率化できないか」と、少し高度な相談をすることにしました。私自身もできるかどうかわからなかったのですが、試行錯誤しながら試作品を作っていただきました。これによって単元テストや小テストをより気軽に行うことができるようになったのでした。
(※ 集計シートは下記リンクからダウンロードできます。ご興味がある方はちょっと触ってみてください)

●「オンライン支援」との出会い 

 試作品を作っていただいたのもつかのま、使っていくうちに「もっとこうしたい」「こんな機能もつけれるのでは」とどんどんニーズが増えてきました(笑)。たとえば、生徒の下記のようなギモンに対して答えられるような仕組みが欲しいと思ったのです。

①自分がフォームを何回投稿したのか?自分はすでに提出済なのか?
②もし「何回でも挑戦できるテスト」だったとしたら、自分はすでに満点を取得していたかどうか??
③上記①②と関連して、生徒自身の提出状況を生徒が自動でわかるようにして、たとえば生徒がフォームを投稿したら、自分の出席番号が消えるような仕組みを作れないか…?

 上記のような仕様を作れないかと思い、相談しようとしたのですが、訪問支援(月2回)では、日時が少なすぎる&限定すぎて話が進みません。また、担当マネージャーに直接相談しようとしても、マネージャー業務で忙しく、なかなか進めることは難しい…。そんな中、「オンライン支援に相談されては?」とメール返信を受けたため、はじめてオンライン支援(Google Meet)をしてみることにしました。
 はじめてのオンライン支援(Google Meet)。つなげてみて、ずいぶんと印象が変わりました。今契約している会社のオンライン支援は…

①つながる担当者がいつも一緒
②予約は不要(つまり先着順)
③オンライン支援を使う人は少ない ⇒ たくさん相談できる!

 上記のようなカンジなので、とても相談しやすいのです。しかも、当然教師よりICTリテラシーは高いわけで…。自分では思いつかないようなアイデアや自分が知らない関数を多数駆使して、自分がやりたかったようなシステムが順調に構築されていきました。

●教師の働き方改革に!!

 Googleフォームの集計シートがアップデートされるにつれて、自分自身の採点業務や、提出物の管理・整理がラクになっていきました。たとえば、Googleフォームは教科に限らず、学級経営・学校経営を行う中での提出物もフォームに多く置き換えることができます。このフォームの提出状況が集計シートによって、自動でリアルタイムに更新されていく、というのは、生徒自身も自己調整に大いに役立ちました。(つまりは未提出者に提出を促せる、ということ)。今まではアナログで(教師が未提出者を集計・ピックアップする→個別や学級全体で声をかける→生徒が提出したかどうか聞く(もしくは個別に受け取る)→)みたいな流れだったのが、教師からの声掛けがなくても、「自分は提出しているのか・いないのか」「今、提出物は何があるのか」を一目で判断することができます。集計シートがあることによって、処理時間をずいぶんを減らすことができているように思えます。
 ICT支援会社のマネージャーは取材の中で下記のように語っています。

今は多くの学校でICT支援員を導入している。『こんなことしたい』『これがやりづらい』などのささいなことも相談してほしい。教員とICT支援員の協力で、より良い働き方改革が実現すると思う

日本教育新聞6月12日付 ~Googleフォームの支援システム作成~より引用

 ボク自身も同じことを思っています。記事の中で、ボクは「校種や立場を問わず、他校の教員や企業とも交流しながら教師の働き方改革を推進していきたい」と言葉を載せました。

●新しい風を吹かせたい

 今回の新聞掲載によって、どれぐらいの読者とつながれたり、新しい風が吹くかはわからないのですが、ボクも、ICT支援会社の担当マネージャーも、今回の出来事をきっかけに「教育現場がもっと良くなればいいな」「賛同してくれたり興味を持ってくれる人と新しくつながれたらいいな」と思っています。本取り組みは「利益がなんたら」とか、「学校が研究校にあたっているから」、とかそんなものとは無縁です。だからこそ、今回の記事をきっかけに、ICTに興味がある人も、ない人も、Googleフォームを使っている人も、使っていない人も、そんなものはもうどうでもよくて(あれ?記事どうした笑)、老若男女問わず、経験年数とか立場とか問わず、みんなでワイワイやれればいいなと思っているのです。だから、この記事を通して反応なり、つながりが生まれると、ボクらはとてもうれしいです。 
 本記事のような取り組みに興味がある方(もしくは応援なり、イイネと思ってくれる方)はお気軽に下記のフォームからお問い合わせくださいませ。また、集計シートは無料でダウンロード可能ですので、活用したい方はぜひ!。質問等もお待ちしております。 



https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeVnshhWXqxztMWaqkg-5mpqXC4kKwevCkEMfYontGlYFhoSw/viewform



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