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歩かず標高2450メートル?「登らない登山」のすゝめ

©︎立山黒部アルペンルート

みなさん、この雪の壁がどこにあるかご存知ですか?駅のポスターなどで、見たことがある!という方も、どこにあるかまではご存知ないかもしれませんね。

実はこれ、富山県にある立山黒部アルペンルートの「雪の大谷」の景色。一冬で20m近くの雪が積もる一方、夏には全部とけて緑になる…そんな場所は、世界でも立山くらいしかないのではないでしょうか。

今回は、この立山黒部アルペンルートを運営する立山黒部貫光株式会社の河合佐紀さんに、立山の魅力について伺いました。

実は河合さん、立山ガイド協会で女性2人目のガイドであり、地域通訳案内士取得者県内第一号でもある、「立山の魅力」を発信するために全力投球している方なんです。

河合さんにお話を聞くと、「登山に興味なんてないよ!」という人にこそ知ってほしい、立山の魅力がたくさんありました。

◎登山が嫌いでも大丈夫!立山の楽しみ方あれこれ

立山の魅力は、一人ひとりに合った楽しみ方があるところだという河合さん。どんな人に、どんな立山の楽しみがオススメなのかを伺いました。

*運動が嫌いなあなたには「歩かずに立山登山」

立山連峰は3000メートル級の山々が連なっていますが、実は2450メートルまでは乗り物だけで行けちゃうんです。ほとんど歩かずに山の景色を楽しめちゃうので、小さいお子様からシニアまで幅広い年代の方にオススメできます。

そして、2450メートルで楽しめるのは、「室堂」の素敵な景色。毎日全く違う顔を見せてくれる山の景色の虜になってしまうでしょう。

乗り物だけで、こんな景色が見られます(みくりが池)©︎立山黒部アルペンルート

河合さん「登山をやったことがない人にこそ、あの絶景をみてほしいんです。地上からは絶対に見ることができない景色、そして刻々と変わる姿を見に来てください。」

室堂周囲を散策することも可能。いくつかルートがありますが、平坦な道のりなので運動が苦手な方も大丈夫。ただし、4月〜6月は散策道の大部分が雪で覆われているので、防水のトレッキングシューズがおすすめ。急な天候の変化に対応できるようにカッパなどのご用意を!

*ブラタモリが好きなら「タモリになりきって」

NHKの人気番組「ブラタモリ」。タモリさんが“ブラブラ”歩きながら知られざる街の歴史や人々の暮らしに迫る番組です。立山が特集された回は人気で、何度も再放送されています。

タモリさんになり切ってこの楽しみ方をしたいなら専門家と一緒に登るのがベスト◎。ただ登山するだけでは気づけない立山の魅力に迫るために、立山ガイドの方と一緒に立山を登ってみましょう。

「立山ガイド」とは、立山を愛する立山のエキスパートたち。なんと、立山ガイド協会の前身である立山案内人組合が発足してから、今年で100年なんですよ。

ガイドさんを見つけるには、「TATECO(タテコ)」というサイトがオススメ。現在、30以上のコースが紹介されており、一人ではできない体験をすることができます。

河合さん「立山には山岳信仰である『立山信仰』の歴史がありますし、地形的な魅力もたくさんあります。だから、立山を訪れた方には「綺麗だな」で終わってほしくないんです。立山の魅力を堪能したいなら、ぜひガイドのみなさんと共に立山を楽しんでみてください。」

観光客をガイドする河合さん

ご自身もガイドとしてこれまでいろんな方と立山を楽しんできた河合さん。

「天狗平でスノーシューをしたい」という海外からの親子をガイドした時には、スノーシューのあとに雪で作ったテーブルで抹茶を立てたり、雪の大谷を上から見たりされたそう。お客さんのしたいことにプラスして、忘れられない体験を提供している河合さん。なんとも素敵ですね。

ガイドさんによっては、山の上でコーヒーを煎れたり、チーズフォンデュしたりする方もいらっしゃるんだとか。

*乗り物大好き!なあなたには「日本で唯一の乗り物に乗りまくる!」

©︎立山黒部アルペンルート

立山黒部アルペンルートは、富山県と長野県を結び北アルプスを貫く山岳ルートのこと。アルペンルートには、何種類もの乗り物が通っています。

富山県側から長野県に向かって移動する場合、乗り継ぐ乗り物は下記の通り。

©︎立山黒部アルペンルート

富山地方鉄道

立山ケーブルカー

立山高原バス

立山トンネルトロリーバス

立山ロープウェイ

黒部ケーブルカー

関電トンネル電気バス

河合さん「アルペンルートのトロリーバスは日本で運行している唯一のトロリーバスなんです。トロリーバスは、バスと呼ばれていますが正式名称は『無軌条電車』なので電力で走ります。トンネル内なので景色は見られませんが、独特の走行音とともに狭いトンネル内を進んでいくので、ちょっとしたアトラクション気分を味わえます。

立山トンネルトロリーバス ©︎立山黒部アルペンルート

さらに、立山ロープウェイからは絶景が楽しめるんだとか。

河合さん「ロープウェイがつなぐ大観峰と黒部平の間には一本も支柱がなく、動く展望台として360度の大パノラマを楽しむことができます。窓がとても大きく作られているので、西には大斜面の大観峰、東には後立山連峰の絶景が広がります。」

黒部ケーブルカーも「日本で唯一」の乗り物。全線トンネルの中を走る唯一のケーブルカーなんです。昭和44年の開業当時の車輌がいまだに現役で走っています。

乗り物について詳しく知りたい方はこちらのサイトもチェック!

*カメラが好きなら「絶景を逃さないで」

カメラがお好きなら、ぜひ立山の絶景をあなたのカメラにおさめましょう。

河合さんが見せてくれた、立山の写真をチラ見せしちゃいます。

満天の星とはまさにこのこと
雲海が広がる

▶︎これまで河合さんが見てきた絶景は、こちらの記事でもご紹介しています。

*あの映画をみたなら「『黒部の太陽』聖地巡礼」

黒部ダム ©︎とやま観光推進機構

世紀の大工事といわれ、日本の高度経済成長期を支えた黒部ダム建設のことをご存知ですか?

富山県を流れる黒部川は、3000m級の山々を水源に日本海まで一気に流れ下るので、水力発電に最適な川でした。しかし、水力発電のためのトンネル工事の途中には川の水を大量に含んだ場所があり、工事は難航し、犠牲者もでる大工事に。

1964年に木本正次氏のノンフィクション小説「黒部の太陽」に描かれ、1968年には石原裕次郎氏と三船敏郎氏の製作・主演による映画「黒部の太陽」として公開されました。2009年には香取慎吾さん主演でドラマ化もされているので、ご覧になったことがある方も多いのでは?

河合さん「大自然と人工物の融合が見所の1つだと思います。しかも堰堤の高さ186mで日本一高いダムなんです!展望台までは220段の階段があるのですが、展望台から見下ろすとスケール感わかって圧巻なので大変ですがぜひ登っていただきたいです(笑)。」

*登山が大好きなら「下から上までのぼっちゃおう!」

山を登り切ったあとに見られる絶景

河合さん「そしてもちろん、登山がお好きな方にはとことん登山を楽しんでいただきたいです。」

立山連峰には、登山初心者が楽しめる山から、上級者向けの「劔岳(2999m)」など様々な山があります。また、かつて修験者たちが登った登山道がいくつもあるため、同じ山を登るにもさまざまな楽しみ方があるんですよ。

ご自身の登山レベルに合わせて、何度でもいろんなルートで挑戦してみてください。

◎何度登っても、違う顔を見せる立山

冬(11月)のみくりが池 ©️とやま観光推進機構

もう一つの立山の魅力は、「毎日違う顔を見せてくれるところ」だという河合さん。立山のエキスパートである河合さんでも、足を運ぶたびに見たことのない立山を発見するそう。

もちろん、季節によって景色が全く違います。「新緑」「紅葉」「雪景色」…。さらに、例えば同じ夏でも、残雪の中に緑が覗く姿や「みくりが池」という池の水面に山が映った景色、夕日や満天の星などなど…

だから、立山は一度行くとまた訪れたくなってしまう山なんですね。

室堂から見た夕日 ©︎河合さん

夕日、星空、朝日を楽しむには、アルペンルート内での宿泊が必要。室堂付近には「ホテル立山」「立山室堂山荘」「みくりが池温泉」などなど、たくさんの宿泊施設がありますよ。

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これまで山に全く興味がなかった方も、すこ〜し立山のことが気になってきたのでは?

私たち「ためスモ」は、皆さんの富山での滞在を全力サポート。ちょっとでも富山が気になる!という方はお気軽にご連絡ください。

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