#4 旅する土鍋オリーブの丘へ①
大土鍋を抱えながらの列車の旅は体力勝負ですが、目的地までいかに担いでいくかのシミュレーションをしなくてはなりません。女性だからこそ、背負いながら(または転がしながら)何キロ歩けるか?走れないからこそ、犯罪の多い国だからこそ、危ない道でないかということも考えます。
ときどき登山をたしなみますが、土鍋との旅は似ていて非なるものです。山は同じ目的(頂上を臨む!自然を愛する!など)を持った人たちが自然の中ですれ違うという感覚。ざっくりいえば同類です。ひるがえって旅先にいる人々は、目的が多様であり、強いては居住者もいらっしゃる。わたしのような歩荷なんだけど暮らしの中に入り込む的なスタイルは、ワイルドで青春たっぷりのバックパッカーさんともちょっと違う。つまりは「どうしたんだろ、あの娘」みたいな、家出娘的な感じです。
さて、今回の目的地も、歴史地区からちょっと外れた丘の上。料理をつくってくれるチンツィアが、車で途中まで迎えにきてくれるというので大変助かりました。古い城壁の門で待ち合わせ。ちなみにフィレンツェの長い歴史に沿って縮小と拡大がくりかえされた城壁で待ち合わせです。そこまでは細い道を大きなバスにひかれそうになりながら、家出娘は歩きます。最後に構築されたというオルトラルノ(アルノ川を越えた地区を含むエリア)含めた1333年完成の城壁まで。
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※この記事はブックレット「旅する土鍋-それでも地球はまわる-」(2014年夏発行/協力CASE gallery/デザイン坂元夏樹・加川京)に掲載されたものに加筆・修正したものです。
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