池田 和正

Men’s Bigi,LEGO,Amazonを経て、現在はキャリア・コンサルタント。音…

池田 和正

Men’s Bigi,LEGO,Amazonを経て、現在はキャリア・コンサルタント。音楽と映画を中心に書いています。

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ザ・スミス ヴィジュアルアーカイブ展  ロミ・モリ×音楽評論家保科好宏氏トークショー 「ザ・スミス 1984年」

今日は神保町のギャラリーカワマツで The Smithsのライブの撮影をされていたロミさんと音楽評論家としてライブにも立ち合われた保科さんが日本人で何人もいないはずのライブの証人としてお話。   司会は「お騒がせ モリッシーの人生講座」の著者でモリッシーの自伝の翻訳という難事業を担当された上村彰子さん。  1984年当時、全く情報がない中で、The Smithsに出会った時の事を思い出しながら、楽しい時を過ごせました。 ①そこでまず僕の話。 僕の初スミスは デビュー7インチシ

    • 「自由の暴力」(旧題:自由の代償)/ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督(1974)

      国内盤DVDは高騰しているため、Criterion版(英題:Fox And His Friends)を買ってきたところで、日本でもファスビンダー傑作選2024で上映されるということで、まず映画館で観たあと、家でCriterion版を観ています。 「以下ネタバレも含みます」 公園に設置された見世物小屋の呼び込みから映画が始まります。 見世物小屋のオーナーと思しき司会者が、3人のストリップ嬢(1人はイルマ・ヘルマン!)を紹介し、「本日の目玉の出し物は、胴体のない生首が、しゃべり

      • 「こわれゆく女 A Woman Under the Influence」/ジョン・カサヴェテス監督(1974)Film版

        フィルム上映の美しさ、鑑賞体験の素晴らしさの再評価を目指す映写技師が監修する35mmフィルム上映イベント「FILM座」の第一回として、ジョン・カサヴェテス監督作品「こわれゆく女」が上映されるので、観てきました。 主演は、最近お亡くなりになったジーナ・ローランド。そのカッコよさという点では「グロリア」がありますが、不安定な精神状態を迫真に演じるという点では、「オープニング・ナイト」を抑えて、この「こわれゆく女」の彼女には圧倒されます。146分という長尺の作品ですが、土木作業員(

        • エフィー・ブリースト/ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督作品(1974)

          「小説の映画化は、それが小説であるとわからせる形で行うべきだ」というファスビンダーによる19世期を舞台にしたドイツの文芸作品の映画化。 まず精緻なモノクロの映像の美しさに惹かれますが、ナレーションの多用、頻繁なカット割り、練り上げられているようで、実は感覚的なファスビンダーらしい雑さ。 話は17歳の自由な精神を持つ娘が、19世紀の貴族社会のなかで、思うがまま振る舞うものの結局、社会に押しつぶされるもので、その時代に生きる個人がその独自性(時には性癖)ゆえ、苦闘というテーマは

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        ザ・スミス ヴィジュアルアーカイブ展  ロミ・モリ×音楽評論家保科好宏氏トークショー 「ザ・スミス 1984年」

        • 「自由の暴力」(旧題:自由の代償)/ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督(1974)

        • 「こわれゆく女 A Woman Under the Influence」/ジョン・カサヴェテス監督(1974)Film版

        • エフィー・ブリースト/ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督作品(1974)

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          gHOSTS oF pRINCES iN tOWER / Rich Kids 45years anniversary remastered

          昨年のRSDに出たRich Kids のファーストのリマスター盤。それにしても読み辛い大文字と小文字の逆転。 当時のふれこみはSex Pistolsを脱退したGlen Matlockのバンド。 当時 ピストルズで曲を書いてたのは彼という話があったので、赤盤で出ていたデビューシングルに続いて期待して聴きました。 プロデュースはMick Ronson。 曲やアレンジはバラエティに富んでおり、Glen曲はポップで 全然攻撃ではなく、これはPistolsのイメージではないなと思って

          gHOSTS oF pRINCES iN tOWER / Rich Kids 45years anniversary remastered

          モッズ・スピリットのその後 「Into Tomorrow」The Spirit Of Mod 1983-2000

          70年代後半に「さらば青春の光」の公開もあり、盛り上がったモッズリバイバル(Neo Mods)は1982年 突如The Jam の解散発表で終止符が打たれ、Paul WellerはThe Style Council(スタイル評議会)というコンセプトをバンド名にして活動を始めます。 そしてこれはモッズのスピリットがどのような音楽的変遷を辿ったかをまとめたCherry Redからの4CD。 よってこのコンピは“モッズのスピリットは持っていよう“とPaul Wellerが言ってる

          モッズ・スピリットのその後 「Into Tomorrow」The Spirit Of Mod 1983-2000

          Haircut 100 42年振りのNick Hayward参加の新作とツアーというニュースが入ってきたので、今日はNick の初ソロ作「風のミラクル」(1983)。

          さあソロで頑張るぞという感じの「When it started to begin」から始まる粒揃いの曲は全て彼の作品でブラスアレンジやプロデュースも自ら手掛け、このアルバムからは4枚もシングルカットされました。共同プロデュースはThe Beatlesのエンジニアとして名高いGeoff Emerick 。彼のプロデュースElvis Costelloの「Imperial Bedroom 」の少し後の録音の関係かSteve Nieveも参加。当時 ニューウエーブ系の作品によく参加し

          Haircut 100 42年振りのNick Hayward参加の新作とツアーというニュースが入ってきたので、今日はNick の初ソロ作「風のミラクル」(1983)。

          Summer of 85/フランソワ・オゾン監督(2020)

          夏休みは避暑地に行ったり、田舎に帰ったりと環境の変化が特別な体験を生み、思い出を長く記憶に残すわけですが、一方「ナイフで切ったように夏が終わる」なんていうPARCOの秀逸な広告コピーが今でも記憶に残るように、その儚区、急に終わる記憶はソフトフォーカスの淡い映像として脳裏に刻まれるわけです。 そしてこの映画は死のイメージに取り憑かれたホモセクシャルな若者の「ひと夏の体験」。 原作は「俺の墓で踊れ」。イギリスで82年に出版されたこの小説に描かれた80年代のムードが映像でもよく描か

          Summer of 85/フランソワ・オゾン監督(2020)

          松岡正剛さんの訃報に接して考えた事。

           情報や文化を独自の視点で組み合わせる「編集工学」を提唱し、日本文化を幅広く論じた編集者・著述家の松岡正剛(まつおか・せいごう)さんが12日、亡くなった。80歳だった。 松岡正剛さんは僕が学生時代からよく講演を聞いたり、彼が編集する「遊」を購読しており、その後も多くの著作を読み、自分のものの見方や考え方に多大な影響を受けた方です。その後、多数の主に日本とは何かをテーマにした著作に出会い彼の古今東西の政治、宗教、言語、科学、文化、日常生活を自由に横断する書物から得られた知見を

          松岡正剛さんの訃報に接して考えた事。

          イギリス「族」の物語/ジョン・サベージ

          若者文化とは 音楽がファッションと密接に結びついていた時代。それは社会へのアティテュードであり、自己表現と差別化の手段でした。 戦後イギリスにおける階級社会、アメリカ文化の影響のもと 細分化しながら、盛衰したイギリスのモッズ、スキンヘッズ、パンク、テディ・ボーイ、ロッカーズ、グラム、ニューロマンテックなどの「族」のスタイルが描かれています。  日本でもニューロマンティックとかは、今思い返せばバブルのあだ花のような側面もあったともいますが、イギリスでの写真中心のファッション雑

          イギリス「族」の物語/ジョン・サベージ

          R.I.P.ジーナ・ローランズ       グロリア/ジョン・カサヴェテス監督(1980)

          偶然逃走してしまうことになる、元ギャングの情婦の中年女性と組織への裏切りで、父を亡くしたラテン系の子供が親子、いや相棒のように心を通じ合う物語であるというストーリーラインのこの映画をよりカサヴェテスたらしめている理由は、舞台とその描き方ではないかと思います。 彼の映画の多くが、どこの場所で、描かれたかを強く意識させることが多く、「こわれゆく女」のような家の中(多くは階段があるカサヴェテスの家)や「オープニングナイト」のような演劇の舞台や「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」よう

          R.I.P.ジーナ・ローランズ       グロリア/ジョン・カサヴェテス監督(1980)

          オープニング・ナイト/ジョン・カサヴェテス監督(1977)

          カサヴェテスの映画の中でも、妻ジーナ・ローランズが前作「こわれゆく女」同様、精神が崩壊し、錯乱していく女性を演ずる映画で、唯一、夫婦役を演ずる作品。 役者さんは、その役に入り込みすぎて、自らの精神にも支障をきたしてしまう方も多いと聞いたことがありますが、この映画でのジーナは、そんな心配をしてしまうほど、迫真の演技です。 この映画は、人気があるものの老いを感じ始めている舞台女優が、老いを自覚する女性を演じる演劇作品の舞台を描いており、この舞台の成功で、老女優のイメージを確立し

          オープニング・ナイト/ジョン・カサヴェテス監督(1977)

          「ゴングなき戦い(原題:Fat City)」/ジョン・ヒューストン監督(1972)

          映画タイトルからわかるようにボクシングを描いた映画ですが、この原作は1969年、映画公開は、1972年。つまり、フラワームーブメントのドラックカルチャーによる饗宴が1969年開催のウッドストックフェスティバルとともに、終焉を迎え、泥沼のベトナム戦争の出口も見えない、夢破れた若者たちの落胆と虚無感が充満していた時期であり、映画界は、アメリカン・ニューシネマの時代でもありました。 この映画は、主人公である盛りを過ぎたボクサーが、雑然とした自室で目覚め、タバコを吸おうと“火”を探

          「ゴングなき戦い(原題:Fat City)」/ジョン・ヒューストン監督(1972)

          マリア・シュナイダー (Maria Schnieder)plays マリア・シュナイダーat 東京芸術劇場

          マリア・シュナイダーと言っても、ベルトリッチ監督の「ラスト・タンゴ・イン・パリ」に出演し、マーロン・ブランドと共演したばっかりにスキャンダラスなイメージがついてしまった女優さんではなく、アメリカ人のジャズの作曲家/指揮者の方です。 僕は子供の頃からビック・バンド・ジャズが好きですが、最近は大人数で演奏するジャズをラージ・アンサンブルと呼びます。彼女はギル・エヴァンスに師事していましたが、ジャズのフィールドだけなく、クラシック界隈でも評価高く、新し物好きのデビッド・ボウイにも声

          マリア・シュナイダー (Maria Schnieder)plays マリア・シュナイダーat 東京芸術劇場

          ザ・スミスのモリッシーが教えてくれたマンチェスターの「蜜の味(Taste of Honey )」/トニー・リチャードソン(1963)

          イギリスの作家シェラ・デラニーが18歳の時に書いた戯曲「蜜の味」の映画化。 「蜜の味」という言葉を知ったのビートルズのデビューアルバム「プリーズ・プリーズ・ミー」ですが、「長距離ランナーの孤独」などの監督として、イギリス ニュー・ウエーブ映画の中心人物でだったそうで、彼の初監督作「怒りを込めて振り返れ」(look Back In Anger)というタイトルもデビット・ボウイの曲で知りました。(ちなみにオアシスは「Don‘t Look Back In Anger」) そして何よ

          ザ・スミスのモリッシーが教えてくれたマンチェスターの「蜜の味(Taste of Honey )」/トニー・リチャードソン(1963)

          まぼろし/フランソワ・オゾン(2002)

          「スイミング・プール」や「ぼくを葬る」は、予告編を映画館で観たことがありましたが、ファスビンダーのリメイクということで、観た「苦い涙」が初めてのオゾン体験でした。そこで感じたことは、そのショットや話のつなぎ方に多くの映画を観てきた人だけが、表現できる映画的世界とそれを実現できる確かな技術を感じたともに、色や造形物そして登場人物を対比で描くようなコンセプチュアルなシナリオにも魅力を感じました。 フランソワ・オゾンをじっくり観ようと思い立ち、まず選んだのが、「地獄に落ちた勇者ども

          まぼろし/フランソワ・オゾン(2002)