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サムライ/ジャン=ポール・メルヴィル監督作品(1976)

フィルム・ノワール初心者なので、やっぱりジャン=ポール・メルヴィルからと思い、まずはアラン・ドロン主演の「サムライ」から観る事にしました。
「私の夢は、カラー作品で白黒映画を撮る事なんだ」とメルヴィルは語ったそうですが、
ブルーがかった鈍いグレーの色彩は美しく、カメラ追う物や出演者の仕草だけでなく、カメラのフレームが捉えた構図に写り込む細部まで計算し尽くされている事に魅入ってしまいました。
もちろんこの映画のタイトルや主人公のストイックさは「武士道」のフランス人の解釈が現れているわけですが、主人公が好意を寄せる黒人女性ピアニストはアニマル柄のファーを纏い、ブラックビューティーがファッションモデルとして活躍する先駆けのようでした。もちろんアラン・ドロンのフェードラ帽にアクアスキュータムのトレンチコート(敵役の殺し屋はバーバリーのトレンチ)。そして主人公が腕を打たれてコートをダメにした後のチェスターフィールドコートも含めて抜群のスタイリッシュさでした。
フランソワ・ド・ルーベの音楽もジャズのクールさに、孤独な主人公の哀愁を加えた(僕はマイルス・デイビスの「スケッチ・オブ・スペイン」を思い出しました)素晴らしいもの。映像と音楽の抑制された色彩によるモノトーンの表現。当分メルヴィルにハマりそうです。

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