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本作りは壮絶。

今は書籍デザインの仕事を二冊ほど抱えていて、うれしい反面、締め切りに追われながら作家さんと編集さんと励まし合いながらひぃひぃ言っている。

毎日、明け方の4時頃にここまで書きました…いったん仮眠します……などとメールがきていて、寝てーーー!!!となりながら、でもやはり文章が届かないことには編集さん、校閲さんのチェック、文章に合わせたイラストの制作、そしてわたしの組版や修正が追いつかないし、さらにはスケジュールに焦る印刷会社さん、その間にも本屋をまわっている営業さん、本屋で棚をあけて待っていてくれる書店の方を裏切れないという想いがあって、当たり前だけど、一冊の本にこれだけたくさんの人が関わっているのだと毎度、感嘆する。そうしてこの間、作家さんから上がってきたばかりの「おわりに」の原稿をレイアウトしながら読んで、すこし泣いた。

そんなあわただしい日々の中でも本はしっかりと読んでいて、こういうものを作っているのだという嬉しさも込み上げる。日々、数えきれないほどの本が出版されるけど、その一冊一冊にこうして関わっている人がいることを想う。

ここまで日記を書いた数日後の昨日、ばたばたの中、なんとか一冊最終入稿した。終わった……という安堵と、デザイナーとしては誤字脱字やなにか決定的なレイアウトミスがないかとひやひやする日々のはじまりで、印刷が刷り上がり手元に届く頃には、こわくて中を開くことができない。過去に経験した、何万部の刷り直し事件、慌てふためく印刷会社、泣きながら修正連絡をしてくる編集者、真っ青になりながら震える手でPCに向かう私……などを思い出したりして、おえっとなる。だから刷り上がった後は、わらわらと感想をいただいてからやっと、安心して開くことができる。本作りは壮絶。

最終入稿した晩、作家さんでもある元上司からはお礼の電話がきて、絶対にご褒美に美味しいものを食べに行こうね!エステもね!などと言われ、そして編集さんからは、出来上がりが嬉しい反面、寂しさもあります。と、長文のお礼メールが届く。嬉しくてまた泣いた。本作りはいい。メールの最後に、すぐに次号も動き出すのでよろしくお願いします!と書かれていて、ぎゃぁ……とも思う。やっぱり本作りは壮絶。

しばらくは読む側でいたいと思いながら、今日もPCに向かう。

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