環境配慮への圧力たち
「環境配慮型の製品を投入したけれども、予想通り全く儲からなって(笑)」と、ある方からため息交じりの声を聞くことに。そもそも、なぜ最初から儲からないと分かっていた製品を投入したのかと尋ねてみると、主に三つの圧力があったから、との回答をいただくことに。今回はそのメモを記していこうと思う。
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一つ目の圧力は、社会から。特定の誰かに命令されたわけではないけれども、環境に配慮した製品を提供しなくてはならない、持続可能性に沿わない取り組みで利益を出しては悪だ、といった無言の圧力が存在しており「やはりウチの会社も作らなくては」と感じるようになったという。
例えば、瓶詰ミカンジュースを製造してきた企業が、環境配慮特集のニュース等に目に触れることで、「これまで捨ててきたミカンの皮をリサイクルする必要があるのではないか」と社会から圧力を感じるように。
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二つ目の圧力は、競合から。同じ業界内で競合他社が環境に優しい製品を市場に投入し始めており、もちろん自社として必ず右に倣えで沿う必要はないけれども、業界として環境に優しい取り組みをしていこう、といった無言の圧力が存在しており、「業界として足並みを揃えなくては」と感じるようになったという。
例えば、瓶詰ミカンジュースを手掛ける同業他社が、瓶を回収してアート作品を作る取り組みを始めたとなると、「自分たちも循環型社会に向けて何かしなくては」と、競合から圧力を感じるように。
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三つ目の圧力は、行政から。環境保護に向け規制が強化されつつあることに加え、補助金や税制優遇を受けるためには、環境に配慮した取り組みが求められることも。もちろん現時点では罰則等はなく推奨に過ぎないけれども無言の圧力が存在しており、「御上の方針に従わなくては」と感じるようになったという。
例えば、瓶詰ミカンジュースの設備を刷新しようとした際、補助金の要件を確認すると、CO2排出削減に寄与すると補助率上昇と記載されていれば「背に腹は代えられん。環境貢献型に切り替えよう」と、行政から圧力を感じるように。
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もちろん、これらの圧力こそあれど、残念なことに環境に優しい製品をコストをかけて作ったからといって、顧客が導入してくれるかどうかは全くの別問題。顧客がお金を払うのは、自身の課題解決のためであり、環境に良いことは二の次という現実。だからこそ、盲目的に持続可能な社会を目指すのではなく、持続可能なビジネスであるかどうかの確認を怠らず、環境への配慮を進めていこう。