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土俵外の競合たち

 アイデアの「競合」について考える際、ついつい自分たちは同じカテゴリの製品やサービスだけに目を向けてしまいがち。けれども広義の意味で「競合」を捉えてみると、自分たちの製品やサービスが活用される機会を奪うすべての要素、と言い換えることができる。

 今回、南国でスタートアップに挑戦中の御方から「広い意味で競合がたくさんいて、中々にハードなんです(笑)」という言葉を授かったので、分かりやすい事例として「車の代行」をテーマにに競合の理解を深めるメモを残そうと思う。

 ちなみに「車の代行」に関して事前に説明を。都市部では活用することは中々にないけれども、酔ってしまって車が運転できない時に運転手を派遣してくれ、その名の通り車の運転を「代行」してくれるサービス。



 スタートアップのアイデアに対して登場する競合の一つ目は大資本。札束での殴り合いに持ち込んでくる超大手企業の皆様。スタートアップには資金的体力がなく、この戦いを仕掛けられる厳しい状況。

 例えば車の代行が10,000円だったとして、大資本がキャンペーン等を駆使して1,000円にまで下げ、スタートアップの事業を駆逐し、競合が消え去った後に徐々に値上げをして投資した分を回収するパターン。



 スタートアップのアイデアに対して登場する競合の二つ目は、業界外の解決策。そもそも自分たちが想定しているカテゴリの製品やサービスを用いなくとも、顧客の持っている課題感が消え去る代替策が存在している状況。

 例えば車の代行が10,000円だったとして、近場の一泊5,000円の格安ホテルに素泊まりして、夜が明けてから運転して帰った方がいいんじゃない?と思われてしまうと、代行の需要は見事に宿泊施設に取られてしまう。



 スタートアップのアイデアに対して登場する競合の三つ目は、文化の変容。そもそも顧客の持っている課題感が、時代と共に消え去ろうとしていて、狙った市場が縮小しつつある状況。

 例えば車の代行サービスを全国展開しようと奮闘したとしても、若者を中心にお酒を飲む習慣が減少してきていると、そもそも「酔って運転できない」という課題そのものが生じず、結果的にビジネスが成り立たなくなってしまう。



 競合は幅広い。同じカテゴリの中で大資本が勝負を仕掛けてくることもあれば、別カテゴリの製品やサービスが課題解決を果たしてしまうこともあれば、そもそも時代の流れで課題そのものが消え去っていくことがある。だからこそ、土俵外のプレイヤーも理解した上でアクションを続けていこう。

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