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二人三脚から生まれる故郷秋田の行動変容

挑戦を支える全国各地の皆様に光を当てるSupporter Interview。今回のインタビュー対象は秋田の関係人口創出やスタートアップ支援を手掛ける白井 圭さん。故郷を盛り立てる背景について伺いました。

── 白井さんの現在の取り組みについてお聞かせください。

本業は法人向け研修の進行管理や研修コミュニティのマネージャーを務めています。副業では秋田県の関係人口創出の取り組みやスタートアップ・起業支援の取り組みを進めています。


── 秋田県の関係人口創出。

秋田を離れて20年ぐらい経った時、ふと思ったんです。”自分自身がこれまでの人生で培ったものを秋田に反映したい”と。そこで想いを共にする仲間と共に「チームババヘラ」を立ち上げたんです。


── 秋田で有名な露店販売アイスの名前を冠していらっしゃるんですね!

「チームババヘラ」の名前は偶然生まれたもので、初回の打ち合わせで使用した会議室にあった絵が「ピンクと黄色」で秋田名物のババヘラアイスだと思ったんです。そこから、「チーム」と「ババヘラ」を掛け合わせて「チームババヘラ」という名前になり、結果的に親和性の高い名前になりました。


── チームババヘラではどのような取り組みをされていますか?

まずは先程お伝えした関係人口創出の取り組みです。秋田に関心を持っていただくため、地域商社と一緒に、地域の特産品を作っている方々にスポットを当てたイベントを企画・運営をしております。また、この取り組みは秋田に限った話ではなく、全国にも共通すると気づき全国をターゲットとした招待制コミュニティ「ロカとも」の運営にも携わっております。

地域の特産品にスポットを当てた招待制コミュニティ


── 秋田ツアー。

流行り病で中々に現地訪問が出来ない際は各地域の特産品をオンラインで食べつつ語り合う会「ロカとも」を開いていたんですが、落ち着いていた時期は実際に現地を訪問することもできました。


── 現地訪問は思い返せば自分も参加させていただきましたね(笑)伝統的な家屋に泊まらせていただいたり、名産品を試食したり、秋田犬に触れさせていただいたりと、心躍る時間でした。だからこそ思うのですがオンライン開催の「ロカとも」の感触は如何でしたでしょうか?

みんなで自宅でパソコンやスマホの前でわいわいやりながら地域の特産品を一緒に飲み食いする、それだけで本当に満足いただけるんだろうかと最初は不安でしたが、見事に盛り上がりました。そして実際に地域との繋がりも生まれてきたんです。


── どこから繋がりは生まれましたか?

実は特産品だけを取り扱っていたのではなく、地域の事業者・生産者さんやまちづくりに取り組んでいる方々をゲストとして「ロカとも」に参加いただいたんです。そうすることで”おとも”(地域の美味しい食べ物)のファンが生まれ、ゲストのファンが生まれ、そして気付けば地域のファンとなり、交流が加速していきました。そして流行り病が落ち着いてからは、実際に繋がった皆様が現地に足を運んで報告してくださることも増えました。やって良かったなって本当に思います。

まちづくりに取り組んでいる方々をゲストとしてご招待


── 心温まるお話をありがとうございます。他にはババヘラでどのようなことに取り組んでいらっしゃいますか?アイスでしょうか?

いえ、スタートアップ支援ですね(笑)秋田県内でアイデア創出ワークショップ等を企画運営し、またイベントだけに終わらせず継続的に伴走するところまでを手掛けています。オンラインでは秋田銀行様の「あきぎん Startup Lab」コミュニティの運営にも携わらせて貰っています。そしてその文脈で、StartupWeekend(以下SW)秋田の開催は欠かせません。


── どうして秋田にSWを持ち込まれましたか?

私が参加したのは2019年8月に開催された「ものづくり」をテーマにしたSWでした。そこで衝撃を受けたんですね。こんな出会いがあるんだ、こんな経験が出来るんだって。そこで思ったんです。この取り組みを秋田に持ち帰って多くの人に体験して貰うことで、多くの行動変容を起こせるんじゃないかって。


ものづくりをテーマにして開催されたSW東京


── 行動変容。

これは私の願いですね。秋田にいらっしゃる皆様が、もっともっと行動するようになって、実際に事業が生まれたり、何か新しいプロジェクトが生まれて欲しいんです。例えば副業を始めるようになるとか、それぐらいのことであったとしても。


── 副業を始めることも行動変容の一つ。

私の周りの秋田の皆様からは、副業やプロボノしていることを信じられないって驚かれることが多いんです。せっかくのお休みの日なのに何をしてるんだって(笑)


── 実際にSWを秋田で開催してみて、何を感じられましたか?

東京の100名超の大規模開催とは対極的で、少人数だからこその圧倒的な密度というか、アットホームな空気感を感じ取ることが出来ました。そしてやっぱり都市部から離れていることもあって、全国各地に登場するSWに繰り返し参加している中毒者の方々も見当たらず、純粋に何か新しいことを始めたい情熱で満ち溢れていました。


── 確かに。白井さんが東京で経験された「ものづくり」のSWも、「Foodtech」のSWも、どちらも100名規模でしたね(笑)他に何か違いは感じられましたか?

アイデアに地域色が見られるというのも面白かったです。例えば秋田の伝統的な竿灯をはじめとする縁日のサブスク型ビジネスとか。やっぱり人の想いは地域と結び付いていることを感じました。

人の想いが地域と結び付いていることを感じたSW秋田


── そんなスタートアップ支援から関係人口創出まで、休日を返上してコミットをし続けられる白井さんの想いの源泉は、どちらにありますか?

やっぱり、自分自身がこれまでの人生で培ったものを秋田に反映したい、ということが大きいです。故郷が少しずつ変わっていく姿を見る度に、どうしても思っちゃうんです。自分の力でお手伝いできることはないかって。手と足を極力動かして、何か貢献できることはないかって。


── 手と足を極力動かして。

オンラインツアーを実施していた身ではあるものの、私自身はオフラインに重きを置いているんです。実は2022年は秋田に年六回も戻っていました(笑)もちろん、東京から関係人口創出に向け出来ることは無数にあるんです。けれどもやっぱり現地に出向くことで、それを通じてしか得られない発見がそこにはあると思っています。


── 定期的に足を運ぶことが重要。

何度も足を踏み入れると、街の小さな変化を感じ取れるようになるんです。そして同時に、明らかな変化も感じずにはいられないんです。商店街で前に開いていたお店がなくなっているとか、バスの本数が少なくなってしまったというように。


── 寂れていく現実。

なんとかしなきゃ。って強く強く思うんです。もちろん少子高齢化、東京一極集中の流れもあり、この衰退の流れは止められないと分かっています。けれども、その衰退の速度を少しでも遅らせることは出来るんじゃないかと思うんです。毎年、ただ人が街から引かれて閑散としていくだけではなく、ほんの少しだけでも街に人を足して賑わわせることが出来るんじゃないかと。もちろん私一人だけでは力不足なので、コミュニティの力も借りて。

仲間の力を借りて、故郷の街にほんの少しでも賑わいを


── そんな白井さんの想いに共感してくれる仲間が集うコミュニティを盛り立てるためには、何が必要不可欠だと考えていらっしゃいますか?

ちょっとでもいいから、自分事として捉える人を増やすことに尽きると思っています。


── 自分事として捉える。

やっぱり受け身なままだと、コミュニティに加わっても情報を見て「ふーん」「そうなんだー」「そんな取り組みもしているんだー」で終わっちゃう。それだとコミュニティの熱量は高まらない。だからこそ、そうならないように一人一人が手を挙げ、小さな役割を担っていくことが大事なんです。


── そうは言っても自発的に手を挙げる方は中々にいらっしゃらないかと思います。白井さんはその壁を突破するためにどのような工夫をされていらっしゃいますか?

「Togetherしようぜ」ですかね(笑)


── 日本語でお願いします(笑)

やっぱり一人でやるのって最初は躊躇しちゃいますよね。だからこそ、一緒にやろうよ。一人じゃないから大丈夫、と安心感を届けることが大切だと私は思うんです。そして嬉しいことに途中で抜けちゃう確率も下がるんです。一人で始めると、出した一歩は簡単に引っ込められるけれども、二人で始めると一緒に出した一歩はなかなか戻せない(笑)


── 二人三脚にすれば、出した足は引っ込められないと(笑)

協力すると関係性が出来上がるので、止めることが難しくなりますね(笑)責任感も増しますし、簡単に引き下がれなくなるのでオススメです(笑)

二人三脚で紡がれる秋田コミュニティの輪


── そんな工夫を通じて盛り立つコミュニティの価値は、どこにあると白井さんは考えていらっしゃいますか?

自分の役割を変幻自在に変えられる、ということがあると思うんです。


── 役割を自由に。

例えばプロジェクトを立ち上げようと思えばコミュニティ中でプレイヤーとして仲間を募ることもできるし、何か面白いアイデアがあればサポーターとして支えることもできる。コミュニティには多種多様な属性の方々が集っていて、常に化学反応が起きる素地があるからこそ、その火花を起こす側になることも触媒になることもできるのが魅力ですね。


── どのような角度からも関われる場所こそがコミュニティ。とても心躍ります。そこで火花が生まれやすいのは、他にどんな要因が考えられるでしょうか?

続きは下記よりお読みください。


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