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支援者が失う最前線の心境

「支援に専念し続けると、最前線で戦う心境を忘れてしまう」という感覚に陥ったので、その感覚を忘れないように記録しておきたい。始まりはGoogle for Startupsで行ったピッチ。ただ70名前後の観客の前で数分話すだけの単純なものであったにも関わらず、自分の心臓は高鳴るばかりだった。普段はファシリテーターとして、誰の前でもどんな場所でも余裕を持って話し続けているのに、まさかの状況。

 そこで自分は気づいた。客観的な立場に立って口を出すだけの支援者としてのポジションに慣れ切っていると。ピッチをする人たちがマイクを持ち震えていても、「緊張なんて気のせいですよ(笑)」と笑い飛ばしていたけれど、それは単なるたわごとだった。

 ナウシカの言葉を借りるなら「遅すぎたんだ。腐ってやがる」という台詞が最も近い。冗談はさておき、支援者を長く続けることで自分が失いつつあったものをメモしておこう。



 一つ目に失っていたものは、挑戦者の持つ緊張感。自分自身が評価されるという緊迫、その結果が資金調達につながるかもしれないような場での成功か失敗かは、結果が自分のコントロールを超えた場所にあるという感覚。



 二つ目に失っていたものは、挑戦者が持つ闘志。絶対に成功させるという強い意志、支援していると、成功するかしないかは自分の手を離れてしまう。もちろん相手を成功させたいという気持ちは強いが、その人自身にしか持てない強い意志には及ばない。



 三つ目に失っていたものは、ゼロからイチを生み出す感覚。完成したイチに対して様々な角度からの客観的なフィードバックは成長につながるが、ゼロから考えろと言われた時、自分はそれを生み出せないだけでなく、試しにやってみてもそれは見るに堪えない出来栄えだ。



 だからこそ、支援者自身がプレイヤーとして挑戦することを忘れてはならないと強く感じる。ただ座って客観的な視点でフィードバックを提供するだけでは、挑戦者の心に寄り添うことはできなくなる。自分自身への戒めとして。

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