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スタートアップに向かない非営利

 「社会に良いことをしたいから、NPO(非営利組織)をスタートアップのように短期で急成長させよう!」という掛け声を何度か耳にしたことがある。けれども残念ながら、それはハードルが高い。

 一つ目は資金のハードル。残念ながらNPOは株式を有していない。以上のことから利益を求める投資家からの資金調達は難しい。もちろんクラウドファンディングや寄付を募ることはできるけれども、まとまった資金を得ることは非常に難しい。

 例えば摘果で落ちた青く固くて小さいミカンを加工して、社会福祉関連の施設にクッキーとして配るビジネスを始めようと思っても、投資家が登場することはなく、賛同してくれた少数の方々のみから資金を得ることになる。

 二つ目は法律のハードル。そもそもNPOは税務を免除された存在。その免税を持続させようと思うと、展開できる事業は非営利のものだけに限られ、またNPOとして登記した以外の活動はそもそも不可能。

 例えば青ミカンの社会福祉クッキーでNPOとして登記すると、残念ながら他の事業展開や営利活動も不可。ミカンの産地にゲストハウスを作ってツアーを始めようといったこともできないし、ECサイトでブランディングして高く売って利益を出そうといったこともできない。

 三つ目は人材のハードル。多くのNPOはプロボノ(無償の奉仕)で運営されており、必要なタイミングで必要な人材を万全に確保することは困難。もちろん有償で人を雇うこともできるけれども、資金調達ができる多大な利益を叩き出せないことから実行困難。

 例えば青ミカンの社会福祉クッキーのモデルを全国展開しようと思ったとしても、人を雇って営業してネットワークを作ることは難しく、お問い合わせが来て「協力します!やらせてください!」と熱を燃やす人の登場を待つしかない。

 NPOは残念ながらスケールに向いていない。どれだけ素晴らしいミッションを掲げても、社会にとって良いことを手掛けたとしても、資金を獲得し辛く、法律の壁があり、人材の確保は神のみぞ知る。だからこそ、真に世界を変えるべく短期で急成長をしたいなら、スタートアップで勝負をしていこう。All Aciton!!!

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