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右から左へ流さない

「海外で面白いプロダクトを見つけました!これを日本に輸入して事業展開することで、スタートアップとしての成功は見込めるでしょうか?」との相談を受けた。それに対して厳しそうとお返事をすることになったので、今回は単純な輸入ビジネスがスタートアップとして成長し辛い理由をメモしておこうと思う。

 一つ目の理由は、独自の強みの欠如。ビジネスを成長させるには、自社独自の強みが不可欠なものの、残念ながら海外のものを仕入れてきて日本の顧客に提供するだけでは、言語や風習の壁ぐらいしか存在しない。仮に独自の顧客基盤を築けたとしても、顧客や仕入れ元が直接取引を始めれば、他に強みを持たない会社は容易に取って代わられる可能性が高い。

 例えば、チェコ製のボヘミアングラスを日本で販売するケース。けれども仕入れることは誰でもできるし、工芸品への営業は誰でもできる。最初こそ上手くいっても、今後の展開は危ういだろう。

 二つ目の理由は、利益が出ないから。その国独自の商習慣や免許など何かしらの障壁や強みを持てた場合には商品を単に輸入して売ることでも売上を立て続けることは可能ではある。けれども、商品を流すだけでは利益が伴わない。価値の源泉はプロダクトを作った企業にある。

 例えばトルコのアイスを仕入れて日本のデパートへ販売するとする。となると最も多くのお金を手にするのはもちろん、トルコでアイスを作っている企業であり、流している企業が大成功することはない。

 三つ目の理由を考えてみてものの、そもそも自社独自の強みがなく、お金が儲からないビジネスモデル、というこの二つで短期で急成長を成し遂げられないことは十分なので割愛。

 もちろん、新しいプロダクトを作るに当たって海外から一部のパーツを調達するといった動きは大歓迎だけれども、そもそもの本丸は自分たちの力で新しい価値を作り上げ、そして顧客に価値を届けていこう。アイデアをカタチにされたい皆様の一助となりますように。

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