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SNSの誹謗中傷に対する問題意識

WeeklyOchiaiという番組で「多様な正義と怒りの矛先」というテーマでSNSの誹謗中傷という問題を扱っていたので、SNSの誹謗中傷について考える良いタイミングだと思い、書くことにした。

SNSに対する意識調査

まず初めに、SNSの現状を把握したいので、日本財団が2020年に18歳の若者に対して『SNS』をテーマにした意識調査の結果を調べた。その結果を順に書き出していく。

SNSの利用率:94%
1日2時間以上利用している人:60%以上
SNSに依存していると答えた人:44%
根拠の希薄な悪口を書いたことがある人:5.2%
主な使途:「情報収集」→80.4%, 「友達とのやりとり」→75.5%

この結果からわかることは、SNSには人を惹きつける力があるということ、そしてそれは、「情報収集」と「友達とのやりとり」という目的が多くを占めているということである。これはこの調査から得た見解であるが、個人的には「友達とのやりとり」だけではなく、何かしら「人との繋がり」を求めてSNSを利用している人が多いのではないかと考えている。

情報収集と人との繋がりがSNSを利用する目的だとすると、果たして、それがなぜ誹謗中傷に繋がってしまうのだろうか?

なぜ誹謗中傷を行うのか?

誹謗中傷には、二つの種類がある。それは、一時的な感情によるものと、粘着性を持つものである。後者の粘着性を持つものは、深い恨みであったり、ある種の正義感が自分と噛み合わない人に対するものであったり、当事者に対してある程度理解をしている人々による誹謗中傷だと思う。これはこれで問題だが、数に関しては圧倒的に少ないので、ここでは一時的な感情による誹謗中傷について考えていきたい。

怒りはポータブルである

面白いですね。遠藤薫さんという方がおっしゃっていた言葉で、怒りは自分の世界に内在しているもので、たとえ場所が変わっても気持ちは変わらないという意味だ。例えば、職場で生じた怒りを家庭に持ち込むこと、SNSに持ち込むこと、怒りが発生した場所(コミュニティ)とは違う場所で発散することができる。それが怒りはポータブルであるというものだ。
確かに怒りがポータブルであるなら、SNSは格好の発散場である。コストがかからないし、匿名でできるし、怒りの標的もそこら中にいる。

怒りの標的というのは、フォロワー数が多い人、つまり、有名人やインフルエンサーと呼ばれるような人だ。なぜ、彼らが怒りの標的になるのかというと原因は二つあると考えている。それは、フォロワーの母数が多いため、便乗されやすい/しやすいからと僻みである。出る杭は打たれるというか、目立つ人を僻む心を持つ人というのは存在するようだ。

「誹謗中傷をなぜ行うのか」に対して、誹謗中傷を行う人というユーザー視点、ミクロな視点で見てきたが、マクロ的に考えたらどうなるだろうか。

誹謗中傷はなぜ起こるのか?

誹謗中傷をマクロ的な視点で考えたら、おそらく経済とつながるだろう。つまり、誹謗中傷によって誰が得をしているのかを考えることはこの問題を扱う上で重要だと思う。
世の中には、誹謗中傷ビジネスというものが存在するようだ。つまり、誹謗中傷でViewを稼ぎ、お金も稼ぐという算段だ。今のビジネス構造として、「注目を集めたら勝ち」という要素があると思う。だから、インフルエンサーや有名人たちは極端なことを言うことで、Viewを稼ぎまくっている。
「怒り」は、Viewを稼ぎやすい、発散しやすい性質を持っている。なぜなら、「怒り」という感情を現実世界で発散できる人は少ないため、ある種「怒り」を発散できる場所へのアンテナが張り巡らされているからだ。

このようにして、「怒り」はViewを稼げることがわかった。そして、Viewが稼げるということはお金も稼げる。それに気づいた炎上好きマスメディアや炎上好き有名人が誹謗中傷を利用して、ビジネスにしている。

以上が、誹謗中傷がなぜ起こるのかという問いに対して、部分的な見解である。誹謗中傷が起こるメカニズムに関しては、さまざまな理由があると思うが、それについては言及しない。

SNSが抱えている問題点

最後に、誹謗中傷のプラットフォームになっているSNSに関して、どこが問題なのかという点の整理と今まで書いてきた内容とは脈絡が異なるが、個人的に思うSNSの問題点を挙げて終わりとしたい。

View第一主義
Viewを稼ぐことしか考えていない。これは、プラットフォーマーとインフルエンサー、マスメディアなどSNSを収益システムと考えている人々に多い価値観のようだ。社会は利己的な選択だけでは成り立たないだろう。

スケールフリーアルゴリズム
スケールフリーとは、多くのリンクを持つノードほど新規のリンクが繋がりやすいということだ。つまり、フォロワーが多い人ほど新規のフォロワーを増やしやすく、自分の視聴回数が多いコンテンツほど新たにおすすめされやすいということだ。このアルゴリズムによって、自分から見える世界は徐々に狭くなっていくだろう。

匿名性
言わずもがなだが、匿名性は誹謗中傷に対する抑止力を下げるだろう。

情報過多
これは、誹謗中傷とは関係ないが非常に重要な問題だと考えている。情報量が多すぎて一つのことに集中ができない、集中力の低下が問題点として挙げられる。情報過多に関しては、本当に悪いことなのかがわからない。情報処理力を鍛えるという点やさまざまな人の意見をたくさん聞けるという点に関しては良いのかもしれない。しかし、全ての情報は処理することができないので取捨選択をすることも大事だ。情報をインプットすることは自然にできるが、情報を取捨選択するにはコツがいる。そう考えると、一度情報過多の状態になって、頭がパンクして、情報の取捨選択を覚えるという流れは良いのかな。どっちなんだろう。ただ確かに言えることは、集中力が下がるということは脳がバカになってる証拠だから、それはいけないことだと思う。

以上。SNSの誹謗中傷に対する問題意識をつらつらと書いてみました。
参考にしたものを以下に貼っておきます。


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