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DiDi Food のあり得ない海外展開!! ユニコーン企業のカルチャーが凄い!


本日は古巣のDiDi Food に関して、取り上げたいと思います。
日本企業だと考えられないような海外展開の発想が結構凄いので、シェアさせていただきます。

私がDiDiに入社した動機の1つとして、世界でも有数のユニコーン企業になるような会社のカルチャーであったり、そこで働く人たちってどんな人なんだろう?という興味がありました。
その点について、カルチャーという点では本日の "あり得ない海外展開" が1つの答えになると思うので、これからスタートアップへの転職を考えてる人や現在スタートアップ企業にいる方にとっては、参考になるかと思います。

Ⅰ 滴滴出行について

まず最初にDiDi Foodの母体である滴滴出行(以下DiDi)について、知らない方もいると思うで、説明します。
DiDiは2012年に設立された企業であり、2021年にニューヨーク証券取引所に上場するまでは、世界第2位のユニコーン企業として世界中から注目をされてるスタートアップ企業でした。(世界第1位はTikTokを運営するByteDance社)

主力事業としては、ライドシェアをしている会社で、中国ではライドシェア市場の9割のシェアを獲得することに成功していて、2016年にはUber Chinaを買収。世界的なライドシェア企業のUberでさえ中国では全くマーケットシェアを獲得出来なかった程、DiDiが圧倒的な存在を放っている。

現在は世界中で事業展開をしており、ラテンアメリカや南米では なくてはならないサービスに成長しているそうだ。日本でもDiDi Foodは撤退してしまったものの、DiDiタクシーは未だに日本の配車アプリのマーケットの中では最大手として君臨している。


Ⅱ DiDi Food の失敗と成功

1 中国市場で失敗

そんなDiDiが主力のライドシェア以外にも事業をいくつか立ち上げた中の1つが、フードデリバリーのDiDi Foodである。
実はこのDiDi Foodに関しては、中国国内ではマーケットシェアを伸ばすことが出来ず、事業縮小に追い込まれたり、なかなか上手くはいってないのが実情である。
実際に中国のフードデリバリー市場は、「美団(メイトゥアン)」と「餓了麼(ウーラマ)」の2強であり、そこにDiDiが入り込む隙はないそうだ。

2 中国で失敗事業を海外展開

しかし中国で失敗しただけでは終わらなかったのがDiDi Foodである。なんと本国で失敗した事業を中米、南米に持っていき、大成功
ブラジルやメキシコのような今後成長著しい大国で事業を成長させ、勢いをそのままに近隣国のパナマやコロンビアなどの国でも事業をスタートさせた。

この時点で普通に考えたら、絶対我々のような普通の日本人では考えつかないような発想だと思うし、それを実行に移して、事業として成り立たせたことが本当に凄いと思っています。

本国で失敗した事業を「あ、これは参入タイミングをミスったので、別の国ならいけるぞ」と切り替えて、それを中米とか南米に持っていくという決断力ややり切る力というのがユニコーン企業にまで急成長するような会社が持っているカルチャーなのかなと感じました。

Ⅲ 働いて感じたDiDiのカルチャー

ここからは私が実際にDiDiで働いてて、「DiDi凄いな」「だからこんなに急成長できるんだな」と思えたところについて記載していきます。

1 決断スピード

タイトル通り、1つ目の決断のスピードが凄い速かった
取り掛かってるプロジェクトでも無謀だと判断したら、バッサリ中止の通告が入ったし、その逆も然りだった。感覚的には3カ月おきに戦略の大部分が変わるぐらいの印象でした。もし1つでも当たれば、それで継続するのでしょうが、当たらなければ3ヶ月でバンバン新たなことに挑戦していくような風土でした。

2 トップダウン経営

2つ目が完全なトップダウン経営であったため、決断から実行するまでのスピード感も優れていたと思う。1日前に新たな計画が出てきて、その翌日にはもう動き出しているというようなことが日常茶飯事だった。

事業成長のスピードが高速すぎました。
最近では "ティール型組織" や "ハートドリブン" のような平等社会みたいなものが流行っていますが、
そのような横並びの会社では事業成長のスピードが  DiDiのようなトップダウンの会社には追いつかないと思います。

ある程度 会社やサービスが有名になると、能力の高い人が組織に入ってくる。
そうすると必ず意見衝突や対立が起こるので、それを1つ1つ解決していくよりは、トップダウンでスピーディーに進めていくことが事業成長において一番の近道なのかもしれない。

これはティール型組織の良し悪しではなくて、
DiDiのように事業スピードの重要度が高すぎる分野で勝負する場合、トップダウン経営が向いているのかなと感じました。
したがって一概に“トップダウンが良い”という話ではないことをご理解いただけたらと思います。

Ⅳ 日本市場撤退の理由


中南米に進出したタイミングも 日本に参入したタイミングも本当に絶妙だったと思います。日本事業も成り立たなかったけど、紙一重で成功してた可能性も十分にありました。今回は失敗になったものの、DiDi社として教訓みたいな部分で得たものは大きかったのではないかと思います。

撤退理由に関しては、末端社員の私には当然ながら真実を知る由もないので、完全な憶測でしかないのですが、報道で言われてることや元社員が言ってることは間違ってることが流れている気がします。

ニュースなどで語られるのは、ニューヨーク市場で上場したものの撤退を余儀なくされ、日本市場に投資を続けるのが困難になったという説です。

しかしながら日本市場を撤退するのと入れ替わるようにアフリカ市場へ進出しています。またアフリカ進出だけではなく、中南米のローンチエリアの拡大も同時期に実行している。
これはシンプルな話で、DiDiにとって日本市場は儲からないが、アフリカ市場や中南米は可能性があるという判断なのだろう。

そう考えると、DiDiが日本市場で負けたのか、もしくは日本が他国に負けたのかは深く考える必要があるかもしれない。
どちらが敗者なのかは、30年後に歴史が教えてくれるであろう。

いずれにせよDiDi社は今回の日本市場撤退を経験して、より一層企業として強くなり、そしていつの日か何か別の事業で日本に現れるのではないかと期待しています。


今回は以上です。


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