COVID-19時代、冬は血栓ができやすく要注意

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英国などで、SARS-CoV-2の変異種の感染が拡大しているため、世界中の国々が緊張している。最初に報告されたSARS-CoV-2に比べて、SARS-CoV-2の変異種は、14種類の変異を有しており、3種類のアミノ酸欠失が認められている。これらのアミノ酸変異によって、SARS-CoV-2の変異種の感染力が従来種よりも強まった。そのため、比較的感染しにくいとされた子供のSARS-CoV-2の感染者が増えている。

COVID-19は、単なる上気道炎や肺臓炎ではない。実臨床で、COVID-19において、心筋炎も認められる。心不全の原因としてもCOVID-19が注目されている。さらに、SARS-CoV-2の感染者で、川崎病様疾患や大動脈炎の発症なども認められる。世界中の精力的研究により、COVID-19の本態は、血管内皮障害であることが証明されつつある。血管内皮障害が起きると、腎不全や肝障害に加えて間質性肺炎が生じる。本記事に掲載されている写真は、血行障害を起因とするコロナつま先(COVID Toes)と呼ばれている霜焼け様血管病態である。このような血管内皮病態は、季節性インフルエンザなどの感染症では認められない。

COVID-19の正確な診断と評価には、SARS-CoV-2の感染の確定診断にPCR検査、肺臓炎の診断のためのCT検査はもとより、血栓症診断のためのDダイマー測定、心臓と末梢動静脈超音波検査、全身の血管と血流を見るためのMRA検査が必要である。また、冬は、ただでさえ寒さで血管が締まりやすく、血流が滞り血栓ができやすくなるので注意が必要である。SARS-CoV-2に感染しても重症化しないため、体を適度に動かして、ストレスをためない生活習慣を続けることが大切である。日常生活におけるCOVID-19予防策として、マスク着用、手洗い、人混みを避けて、ソーシャルデイスタンスを守ることは、必須である。

私共医療機関は、厚生労働省からのCOVID-19重症患者受け入れ指定医療機関である。12月中旬から、COVID-19患者の入院者が増えている。私共医療スタッフは、ECMOを使用する前に、狭窄した気道・気管支を拡張するために、画像ガイドによるステントグラフト留置術を行っている。そのため、COVID-19の患者の救急搬送も多い。12月下旬から、COVID-19重症患者用のベットも満床である。是非、可能な限り、不要・不急の外出をしないように心掛けて頂きたい。                                                                                                                                                                                                       がん治療専門ドクター/癌ゲノム医療/新興感染症            New Engl J Med. Published on December 28, 2020. by 京都@Takuma H


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