【愛着の子育て】自分を知り、我が子に与える
オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆
〜今までで一番心を打たれた子育て本〜
すごく良い本に出会ったと思う。
本書の著者であるダニエル・J・シーゲルとティナ・ペイン・ブライソンは一時期話題になっていた「『自己肯定感』を高める子育て」(僕は未読)の著者でもあり、2人の共著による子育て本はこれで4冊目だそうだ。
「科学に基づいた子育てメソッド」なんていう子育て本はいくつもあるが、その数ある子育て本の中からこの1冊に出会えたのは幸運だったと思う。
今まで読んだ子育て本の中で一番僕の心を打ったからだ。後述するが、本書を読み進める中で涙すら出そうになった瞬間があった。
もし、友人から「オススメの子育て本ある?」と聞かれたら間違いなくこれを薦めるだろう。
〜愛着を築く子育て〜
さて、本書のテーマはタイトルからも分かる通り、子どもとの「愛着」を築くことである。
親子のあいだに見られる愛着には安定型と不安定型があり、どんな愛着を築いてきたかが子どもの今後の人生に大きな影響を与える。
愛着を築くためには精神面でも感情面でも「寄り添う」ことが重要であり、その時に親は子どもに「4つのS」、安全であること(Safe)、見守られていること(Seen)、なだめられていること(Soothed)、そして安心していること(Secure)を感じてもらうことが必要となる。
これが本書のおおまかな流れだ。
特に「4つのS」についてはひとつひとつ丁寧に解説してくれているのだが、全体を通して子どもに「寄り添う」事の大切さが重要視されている。
「寄り添う」というのは、単に甘やかす事ではないし、わがままを受け入れて折れる事でもない。また、親としての権威を損なう事でもないし、完全に放任してしまう事でもない。
子どもの行為や感情に対して、その行動の裏にどんな感情があるのか?その感情の奥にはどんな思いがあるのか?を、深く読み取りそばにいて安心させることなのだ。
もちろん、全てを完璧に読み取る事など不可能だし、著者も「完璧な親になる必要はない」と語る。大切なのは、子どもが実生活だけではなく精神生活においても安心出来る場所を親が作り出すことなのだ。
〜自分自身の人生を振り返り、我が子に愛情を与える〜
さて、単に「寄り添う」という事が文字で読む以上に難しいことだというのが、本書を読むことで痛感する。
なぜなら、親が子どもに愛情深く接するには親自身が愛情深い人間にならなくてはいけない。
そのため、本書では具体的な子育て論に入る前に約三分の一のページ数を費やして、「親自身の人生を振り返る」ことを薦めている。
自分は親からどんな愛情を受けてきたか。
その愛情は自分の人生においてどんな影響を与えたか。
親に対して安心感を覚えていたか。
自分が何か不安になった時に親は"安全な港"になっていたか?
自分が親から欲しかったものが何かを思い出す事で、今度は我が子に何を与えるべきなのか。本書は、それを考えることに重きを置いているように感じる。そして、僕はこの過程で何度も胸を締め付けられる思いをした。
親から欲しかった愛情をもらえなかったことを恨むべきではない。
完璧な親などいないのだから。
今度は自分が親として愛情深く子どもに接することを考える。
どんな子ども時代を過ごした人でも、我が子に対して愛情深い親になることは可能なのだ。
本書は科学に基づきながらも、全ての親を救う希望に満ちた優しいメッセージが込められている。
これから親になる人にも、今親として成長したいと思う人にも、本書は必ず子どもを愛するための大きなヒントになる一冊だ。