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【数学読本1】教養としての数学を学ぶ

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜試験用ではない数学を学ぶ〜

非常に良い数学の教科書である。

数学の学び直し、となれば以前読んだ「もう一度中学数学」や「もう一度高校数学」のような受験数学のやり直しのようなイメージになりがちだが、本書は数ⅠAや数ⅡBのような区分けはされていない。学問としての「数学」の面白さを知ることが出来る

「数学読本」は全6巻で構成されており、この6巻で大学入学前までの数学を網羅することが出来るそうである。そして、この第1巻では「数」「式の計算」「方程式」「不等式」の4項目についての講義となっている。
さて、この第1巻の内容だけ見ると中学数学の復習のようにも思えるが、そんなことはない。最初の「数」の項目だけでも、新しい発見がある。
全ての始まりである「数」の概念を深く知ることで数学の面白さが何倍にもなる。

さらには著者のこちらに語りかけてくるような文体も非常に読み心地がいい。スイスイと読み進めてしまう。現役学生や試験を目指す社会人にとっての試験対策としては物足りないかもしれないが、教養としての数学を学ぶにはもってこいである。


〜演習問題の質が高い〜

さらに本書の特筆すべき点は、要所要所で出題される演習問題の質の高さである。

数学の教科書なんかでも演習問題はあるが、「意味があるのか?」と思うほど複雑な計算を要する問題が出題されたり、内容とは関係ないところでミスしてしまうようなスッキリしない解答になる問題ばかりで、解くのが嫌になってしまうことがある。

しかし、本書における演習問題は、解くことで講義の内容が深く理解できるような良質な問題ばかりが用意されている

こういう講義形式で進む本では演習問題の類は飛ばしてしまいがちな方(かくいう僕もそうだが)は、本書を手に取った際には、是非とも講義に沿って全ての演習問題をひとつひとつ丁寧に解いていくことをオススメしたい。ひとつも無駄な問題などない、と言い切れるほど質の良い問題ばかりである。


〜楽しみな2〜6巻〜

この数学読本の第1巻を終えて、僕はすっかりこの著者の講義の虜になってしまった。

間違いなく僕はこの数学読本シリーズを制覇するだろう。

ひたすら問題を解くような数学の勉強ではなく、教養としての数学を学べる。これこそが僕がやりたかった数学の勉強である。

ひたすら計算をさせられるのが嫌で数学が嫌いになったような人は、一度この第1巻を手に取っていただきたい。きっと「数学っておもしろいな!」と感じるきっかけになるだろう。

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