【マクベス】初シェイクスピア
オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆(オススメというよりかは個人的な評価として)
〜福田恆存さんを知るために〜
この30年の人生の中でシェイクスピアの作品に一度も触れたことが無かった。
この「マクベス」も然り、「ハムレット」「オセロー」「リア王」など、タイトルこそ知っているものの、どんな話かは一切知らずに中年になりつつある。
友人などからは「あれは、翻訳した文章を読んでも面白くないんだよ。本当の良さを知るには原文を読むか実際の演劇を見なきゃいけない」と言われ、なんとなく「じゃあいいや」と思っていたものの、「じゃあイギリス英語をいつ勉強するの?」「シェイクスピアの演劇をいつ見に行くの?」と考えた時に、まずは「本当の面白さ」よりも「教養」として話を知っておくべきなんじゃないか?という思いとも揺らぎ、結局もやもやしたままシェイクスピアに触れずに生きていた。
そんなある時、先日「人間・この劇的なるもの」という本に強く感銘を受けた。著者は福田恆存さんという方なのだが、この方、翻訳家で劇作家でもあり、自身でシェイクスピア作品の翻訳や劇に携わっている。この本にもシェイクスピアに関する文章が多く載っており、もっと福田恆存さんの本を読みたいと思った僕は、そのためにもシェイクスピア作品を知らなければいけないと思ったのだ。
つまりは、福田恆存さんの文章を深く理解するためにシェイクスピアを読み始めた、と言っても過言ではない。
というわけで、本作も福田恆存訳のものを読ませていただいた。
〜人間とは不完全である〜
前置きが長くなったが、本作の感想にうつろうと思う。
マクベスは、王位を密かに狙っており、王座を得るために非道な殺人を行う。そして、王位についたあとも、それを守るために人殺しを繰り返す、というお話。
そもそも、マクベスという男は戦いの中では勇猛果敢であるが、内面は優柔不断で常に不安に苛まれている。そこに、3人の魔女や妻に唆されて自らの手を血で染めてしまうのである。
事の顛末を見れば、マクベスの自業自得の話とも言えるが、小心な人間が少し背中を押されただけでとてつもない事をしでかしてしまう悲しさや滑稽さが読み取れる。
結局、この話で誰が1番悪かったのかを一言で言うのは非常に難しい。登場人物たちの思惑が錯綜して絶妙なアンバランスさの中で物語が進んでいくのだ。運命がもたらした悲劇、としか言い表わせない。
「どうせ昔の人が書いたお話なんでしょ〜」とか思いながら読み始めたが、思いの外奥が深く、現代まで語り継がれる作品である事に非常に納得させられた。
さて、まずはシェイクスピアの四大悲劇を制覇しようと思う。
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