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【丸の内魔法少女ミラクリーナ】もっと刺激を…もっと毒を!(笑)

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆


〜常識を問う安定の村田イズム〜

コンビニ人間」「地球星人」「殺人出産」と、この一年立て続けに読んでいる村田沙耶香さんの短編集。

これまで読んだ作品と変わらず、その根底にあるテーマは「常識を問う」こと。

魔法少女に変身する非日常を空想する36歳の女性が主人公の表題作のほか、好きな男の子を監禁するところから始まる「秘密の花園」、性の無い学生生活を送る学生たちの姿を描く「無性教室」、世代間の価値観の違いで"怒り"が無くなった世界が舞台の「変容」
これら4編が掲載されている。

どれも、村田沙耶香さんらしい世界設定である(笑)


〜少し刺激が足りないように感じた〜

さて、村田沙耶香さんの作品を連続して読んだせいか、なんだか感覚がマヒしているようで、先に読んだ3作品と比べて、刺激が足りないように思えた。

狂った人々や狂った世界を描くのがこれまで読んだ村田沙耶香さんの作品への印象だ。その世界観はほんとうに「見てはいけないもの読んではいけないもの」を読んでいる、そんな刺激的な感覚が先の3作品にはあった。

しかし、本作の短編はどれも「なんだか丸く収まったなぁ…」という印象。
どの作品もあらすじだけ読めば、もっと刺激の強い物語になりそうなのだが、なんとなく平坦なまま終わりを迎えたように感じた。
面白くないわけではないのだけど、読み終えた僕の中には「もっと刺激を!もっと毒を!」という感情があった。過剰な期待をして読んでしまったのだろう…。

「コンビニ人間」「地球星人」を読んだ時の、気持ちの昂りはまだ忘れられない。
他の作品にまた期待することにしよう。

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