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【きみのお金は誰のため】キレイゴトを論理的に

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜世界はお金が全てなのか?〜

若い頃、年上の人に「この世はお金が全てだよ」と言われて、それに言い返せずに悔しい思いをしたことがある。
たしかに、お金が無ければ、自分の欲しいものや望むものを手に入れられないのはもちろんのこと、生活することすらままならなくなってしまう。結局、お金が無ければ僕らは生きていくことが出来ない。

本書によれば、そんな論理のもとに僕らは「お金の奴隷」になっている。
全ての判断はお金が基準になり、お金が手に入る手段を何よりも優先する。何につけてもお金、お金、お金。そんな考え方は卑しいと思っていても、たかがキレイゴトと鼻で笑われてしまう。

大人になれば疑問にすら思わなくなってしまう。
「この世はお金が全てなのか?」

本書は、小説の形式でそんなお金の正体を教えてくれる。お金が全てのような世界に疑問を持つ人にとっては、お金に対する疑問やモヤモヤを言語化してくれる良書となるだろう。


〜お金は助け合いの装置〜

本書で僕が重要だと思ったのは以下の3点である。

・お金はただ人から人へ流れていくだけのものである。
・問題はお金が解決するのではなく、その先にいる人の労働や生産により解決される。
・全体において必要なのは、お金を増やすことではなく生産性を増やすことである。

すなわち、お金は人と人との助け合いの輪を拡大していく装置として機能しているのであり、本当の豊かさとは人が作り出している、ということである。

お金が人から人へ流れることによって、遠い地にいる知らない人のために労働することが出来る。逆に知らない人の労働や生産の恩恵を受けることが出来る。
お金は流れていくことで、労働や生産の成果物を広く多くの人に届けられるのである。
それがお金の正体なのである。

そのように世界を見ると、お金だけを増やすことに意味はない。僕らは労働や生産を通して、知らない誰かとお互いを助け合いお互いに豊かになっていくことが重要なのである。ただただお金の金額が増えてもそれは豊かさには繋がらないのである。

こんなキレイゴトに挑戦して、見事に納得させる内容を書いた本書には敬意を払いたい。
読めば世の中の見え方がきっと変わるだろう。

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