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【もう一度高校数学】紙とペンを脇に置いて取り組むべし

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆

〜濃厚な500ページ〜

はぁ、やっと一通り終わった…。

ここ最近、書評記事を書くペースがかなり遅くなっていたのは、読書と並行してこの一冊をやっていたからである。この本を読み始めてから終わるまで約1ヶ月半かかった。

本書を手に取りパラパラとめくるだけでわかるのだが、これは通勤通学のスキマ時間にお手軽に読めるようなものではない。紙とペンを脇に置いて、手を動かしながら取り組む一冊である

手軽には読めない、という点でオススメ度は低いのだが、紙とペンを持ちみっちりやる事で一通りの高校数学の復習は出来たと思う。しっかりと取り組めば数学に対してそれなりの自信が持てる一冊である。


〜「復習」に最適〜

とはいえ、本書は数学初心者には少し厳しい本である、という事も付け加えておかないといけないだろう。

「もう一度」というタイトルからも分かる通り、本書は「復習」のための一冊である。
僕自身は、もともと理系で数学にも自信があった時代があるので、一通りの見直しとしては非常に重宝したのだが、これまで数ⅢCに一切触れてこなかった文系学生だった人たちにとっては、非常にハードルの高い一冊だ。

というのも、数ⅠA、ⅡB、ⅢCを一冊にまとめてしまっているので、一つ一つの項目が1〜4ページほどにまとめられているのだ。
一つ一つ丁寧に公式の証明もしてくれているのだが、式だけ見て「ハイ、証明完了」と言われてもちんぷんかんぷんな人もいると思う。

なので、本書をオススメ出来るのは「一度でも数ⅠA、ⅡB、ⅢCを一通り学んだことがある人」に限られるだろう。
少なくとも「この一冊で一から数学を学ぼう!」という人にとっては、かなりハードルが高いように感じた。


〜数学は国語力を鍛える〜

最後に余談になるが、僕が数学全体の中で好きなのが"集合"と"論理"である。
特に、"論理"については、日常生活でかなり役に立つものだと思っている。

論理とは、いわゆる「命題」だったり「必要十分条件」だったりの話なのだが、これを理解していると、文章理解や逆に自分が何か説明したり解説したりする時の論理の組み立てが非常にスムーズになる。
個人的には、全ての人が"論理"をキチンと学ぶべきだと考えている。

例えば、
「ロールキャベツが好きな人は、キャベツが嫌いではない」
という命題に対して、キャベツが嫌いだったら当然ロールキャベツは食べられないので、この命題は正しいと考えられる。一方で、
「キャベツが好きなら、ロールキャベツも好きである」
という逆の命題だと、キャベツ好きでも肉が嫌いな可能性があるからロールキャベツが好きとは限らないため、逆に考えると正しくないと考えられる。

このように、一方向に条件を考えれば成り立つものも逆から考えれば条件が成立しない、という事はいくらでもある。

上記の例えはわかりやすくしてみたが、日常生活で人と話していても、この条件の向き(「統計学が最強の学問である」でいうところの因果関係の向きに考え方は似ている)を理解してないなぁと思う人は多い。何を前提としてその結果が生まれるのか?何を条件としてその結論が生まれるのか?という事を考えずに、条件と前提と結果と結論をめちゃくちゃになってしまうのだろう。

論理についてはもちろんのこと、公式や数式の理解もある意味読解力が必要だと考えれば、数学を学ぶ事は国語力を鍛える事につながると思う。
数学が苦手だという人も、高校数学の全てまではやらなくても、ぜひ"論理"の部分は勉強していただきたい。自信を持って「役に立つ」と言い切れるところである。


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