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【統計学が最強の学問である[ビジネス編]】より具体的な統計学の活用方法

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆

〜まずは[実践編]を読むべし〜

まず、本書は前著「統計学が最強の学問である[実践編]」を先に読む事をオススメする。
書かれている解析手法は既に[実践編]において説明してある前提で話が進んでいくからだ。

そして、なんとなくでも重回帰分析やロジスティック解析が何をするものなのかがわかっていれば、このビジネス編においてなぜアウトカムと解析単位が重要視されるのかが、大いに理解できるだろう。

アウトカムとは本書では、統計解析の結果の事を指しており、このアウトカムを何にするのか?というのが全体的な主題となっている。ビジネスにおいては「何が利益をもたらすのか?」という問いが全てであり、何をアウトカムに設定するかにより、検討すべき対象や戦略が左右されるのである。

本書は一貫してアウトカムの設定方法とそのアウトカムを導き出すための解析単位を、ビジネスにおけるさまざまな分野に照らし合わせて解説している。


〜少し規模の大きな話〜

さて、本書ではビジネスの様々な場面における統計解析のためのアウトカムと解析単位の設定について解説しているのだが、それぞれの章で見られる場面が「経営戦略」「人事」「マーケティング」「オペレーション」の四つなのである。

正直なところ、僕のような平凡なサラリーマンは会社の「経営戦略」や「人事」に手をつけるような立場では無いので、前半部分は遠い話のように感じた。
著者も言うように、まずは自部署の業務オペレーションから手をつけるのが、気軽でハードルも低く、生産的かもしれない、と思った。


〜分析のためのデータを加工する手間〜

さてさて、ここまでのこのシリーズを読んできて統計学の強みというものを感じてきたのだが、本書の最後の方に、僕が兼ねてから感じていた疑問について書かれていた。

それは、データの加工の手間である。

僕自身、情報工学を大学で学んでいたので、データ解析なども研究室で行っていたのだが、著者も語るように、分析できる状態にデータを加工する、というのが解析そのものよりも何倍も時間がかかるのだ。
大量のデータを解析プログラムに通した際に、解析結果どころか、データに不備があり、プログラムが止まってしまう、なんて事はしょっちゅうだった。この時のストレスは半端ない。

ましてや、統計解析のために社内の部署を横断してデータを集める、となればその手間は計り知れない。
本書を読んでいる間、「言うのは簡単だけど、そんなデータをどうやって集めんのよ…」と思っていて、最後の最後に著者もその面倒さを語っていた。

というわけで、本書を読んだ結果、統計解析を社内で活用することのハードルの高さを、僕は思い知らされたわけである(笑)

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