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【読書感想】朝井リョウ、あさのあつこ、伊坂幸太郎、恩田陸、白河三兎、三浦しをん『X'mas Stories 一年でいちばん奇跡が起きる日』

2016.12.14 クリスマスアンソロジー読了。

朝井リョウ、あさのあつこ、伊坂幸太郎、恩田陸、白河三兎、三浦しをん『X'mas Stories 一年でいちばん奇跡が起きる日』

孤独すぎるクリスマス月に、この本を読むのはどうなのかと本屋でしばし逡巡。
この作家陣がメロラブな小説書くわけはない。そう信じて買いました。

信じてよかった。クリスマスって一体何なのかと根底から考えさせるような作品群でござった。どれも本当素晴らしかった。

暇なので1作1作、ねちゃねちゃ語ります。

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朝井リョウ『逆算』
何様に収録してある話だが、何様を未読なので新鮮に楽しめた。
朝井ワールド全開。恋愛小説なんだけど、ただの恋愛小説ではなくてかなり歪んでて、でも未来を感じるという何重のトリックに圧倒。
そして何よりこのサゲ、最高。
朝井リョウは、歪んだ認知を昇華できる稀有な作家さんだと改めて認識した。

あさのあつこ『きみに伝えたくて』
まさかのクリスマスホラー。
表紙から乖離していて最高。
ホラーといっても、そこまでホラーじゃないんですけど、クリスマスに罪と罰をテーマにしてくるあたりがホラーだな、と。
主人公が自ら罪に囚われていく描写が大好きです。

伊坂幸太郎『一人では無理がある』
ジャイロスコープに収録されていましたので、既読。でも、クリスマスアンソロジーの一作品として読むのもよかった。
この作品に限らず、伊坂さんが書く、虐げられてる子供の描写が凄く好き。
直接的には助けないんだけど、自分で闘えるように大人がアシストする伊坂手法は得るものがある。その大人もしっかりした大人じゃないもんだから、私も陣内や松田になれるんじゃないかなと前向きな錯覚に陥る。そしてその感覚はずっと胸に残る。

恩田陸『柊と太陽』
これはもう超すき。大好き。
文字だから面白い。
小説という媒体だから成り立つ。
この高度な言葉遊びがツボだった。
世界観も素晴らしい。
私はこの小説の素晴らしさを語る語彙力を持たない。すごくすごく面白かった、とても。

白河三兎『子の心、サンタ知らず』
初めて読む作家さん。こういう出逢いがあるのもアンソロの良いところ。
6作品の中で1番正しいクリスマス小説。面白みはそんなにないけど、あったかい。

三浦しをん『荒野の果てに』
タイムスリップでコメディタッチなんだけど、深い。切支丹弾圧時代の人が、キリスト教のお祭りを共に祝う日本人を見たらそらぶったまげる。そういう視点でクリスマスを捉える面白みと必要性。
クリスマスアンソロのトリに相応しい、文化宗教人間を問う作品でした。

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