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【イベントレポート】令和怪談集『恐の胎動』発売記念トークイベントin今野書店

2024年3月2日西荻窪今野書店さんにて
クダマツヒロシ著『恐の胎動』発売記念トークイベントを開催しました。
出演は『恐の胎動』の著者であるクダマツ ヒロシ先生、
ゲストには怪談語り手として活動されている八重光樹さん、
怪談探偵Vtuberの影野ゾウさんがお越しくださいました。

本記事ではイベント当日の様子を一部抜粋し、さらに生配信・アーカイブには映っていなかった現地の様子を写真付きで紹介いたします。

▲著者クダマツヒロシ先生



1.朗読『散眼』

開場後、八重光樹さんによる朗読からスタート。
『恐の胎動』より「散眼」
寄り目の逆、離れ目が出来るアキくんにまつわるお話です。
内容の不気味さをより際立たせる八重さんの語り口に会場がしぃん…と静まり返っていました…。

▲「この人の顔、見てて」と語る八重さん。
語り掛けてくるアキくんが憑依したかのような雰囲気。

2.『恐の胎動』トークショー

八重さんによる朗読が終わり、クダマツ ヒロシさん、影野ゾウさんが登場。

▲中央がクダマツ ヒロシ先生、左画面に映るのが影野ゾウさん。

クダマツ先生から八重さんの朗読の感想からトークショーが始まりました。

-クダマツ先生「恐の胎動刊行イベント。皆さん有難うございます。」
(中略)
-八重さん「目次見ながらとか、今日のお話聞いていただけると、よりこの恐の胎動が面白くなるイベントにしたいな、と思ってるんですけど。僕が言うことじゃないですよね(笑)」
-クダマツ先生「全部言ってくれる(笑)」
冒頭の朗読で静まり返った会場から一変、怪談イベントとは思えない明るい雰囲気のトークショーとなりました。

・『恐の胎動』執筆にあたって

31の怪談が詰められている『恐の胎動』
クダマツ先生がどんなことを考えながら執筆されたかをトークショーの内容から一部抜粋してご紹介します。

-クダマツ先生「たぶん作家さんって色そろえてくと思うんですけど。
ただ僕は敢えてバラバラにしたいなって、一個一個書き方変えたいなって思って。
新人だから出来ることだと思うんですけど。
作家の先生方見てても書き方確立されてるじゃないですか。
この人はこういう怪談を書かれる、この人はこういう文章書かれるって確立されてるから難しいと思う、こういう(一個一個書き方変えるという)のは難しいと思う。
今だから、こういう怪談的な書き方だったりホラーテイストにしっかりぶっ飛んだ話も書いたりとか。かと思えばエッセイ的な話もあったり。いろんな書き方できたってのはすごく楽しかった。」

▲『恐の胎動』収録作品「御厨子開帳」についてお話されるクダマツ先生。

今回の『恐の胎動』を書く際に今だからこそ出来るやり方でクダマツ先生は挑まれたそう。
他にも表題作の「恐の胎動」は元はタイトルが違った事、二本目に収録されている「御厨子開帳」の取材のお話と八重さんの熱い感想など、貴重なお話を聞かせて頂きました。

-影野ゾウさん「でもどこを切り取ってもクダマツさんなんですよ、本当に。この本で特にすごいと思ったのが「霧と繭」なんですけど…この本ね静かなんですよ。なんかね、無音を書いているって感じがするんですよ。(中略)BGMがね、鳴らない本なんですよ」
-八重さん「この感想って僕らが感じた感想なんですよね、きっと」
「僕は一冊通して、音楽的な、アルバムっぽい作品だなと。(中略)それこそ最後の「恐の胎動」が締めの曲、かつアウトロみたいな。」

八重さんは「金太郎飴みたいな本」とも表現されていたのですが…その時のクダマツ先生の反応は是非アーカイブでご覧ください。

▲”電脳神戸”で『恐の胎動』を読む影野さん。バーチャル世界だとkin〇leてこう読めるんだ…

3.怪談語り

クダマツ先生が執筆に際して意識されたことや好きな作品に触れながら『恐の胎動』についてお話くださいました。
八重さんの「クダマツさん人怖も『恐の胎動』に入れたかったんじゃないかな」
この流れから怪談語りへ。
語られた怪談からあらすじだけ抜粋してご紹介いたします。

▲クダマツ先生の人怖怪談に感想を述べる八重さん

「遠い親族にちょっとヤバい人がいて……」
そんな導入から始まったクダマツさんの人怖の話。
ギャンブルにハマっているおじいさんが親族のおばあさんにお金の無心をしたところ、「金庫の中にお金があるが、開け方を忘れてしまった。開けてくれたら半分貸す。」ということに。
おじいさんは認知症気味であるにもかかわらず、住所を頼りにバスや電車を乗り継いでおばあさんの家まで向かうのだが――(続きはアーカイブにて)

クダマツさんはこの話を義理の妹さんから「本を書く時に使える?」と教えられた際に「怖すぎて使えない!」と仰っていたそうです。
クダマツさんの語り口が軽快だったので、聞いているうちは「親戚の面白話かな」という感覚ですが、結末はまさに「人怖」。衝撃的なお話でした。


▲「コンコンさん」を語る八重さん。
もう一つご紹介された実体験の怪談は必聴です!

八重さんからは、ある女性から聞いたという不思議なお話。
女性はお母さまと一緒に神社へ「祖母の病気が良くなりますように」とお参りをされ、お守りを購入。そのお守りを祖母の病室に飾って快癒を祈願したが、祖母が急に認知症に――。
あまりに早い症状の進行に家族が困惑するなか、祖母が「コンコンさんが来る」と言い出して――

続きはアーカイブにて!クダマツさん影野さんお二人とも「不思議!」という感想が出た結末でした。


▲影野さんとクダマツ先生。

「取材大事だなと思った話が一つありまして…」
そう語り始めた影野さん。
ある方が小学生の時、家族で仏間に寝ていた時に夜中に目が覚め、金縛りにあう。眼だけ動くので見回すと、真っ黒な影が台所に見えた。
眼を凝らすと、髪の長い女が四つん這いの姿をしていて――。

普段は文章ベースで取材をすることが多いという影野さんですが、この話は体験談を読んだ時にとても気になったそうで、初めて通話で取材をされたそうです。取材をしていくうちに明らかになるいくつもの不可解な現象…怪談探偵として活動される影野さんならではの語り口でした。
‐クダマツ先生「取材によって深堀することで新たに色々わかってくるのは怪談のロマンだから」

各怪談の結末は是非アーカイブでご視聴ください!

怪談語りを2周したのち、エンディングトークへ。

-クダマツ先生「読んでくださった方がこの話良かったですとかこの話好きだなみたいなことを教えてもらえるとすごく励みになります。」

そう言ってクダマツ先生が締め、明るい雰囲気のままトークショーは閉幕しました。

4.フォトセッション&サイン会

オンライン配信が閉じられたあとは、会場にてフォトセッションとサイン会がおこなわれました。

▲現場のお二人のフォトセッションの場面


▲三人でのフォトセッション。多くのお客様に撮影頂きました。


▲サイン会中のクダマツ先生。


イベント開催にあたって運営・配信でご協力頂きました今野書店さん、
ご出演頂きましたクダマツヒロシ先生、八重光樹さん、影野ゾウさん、
そして会場にお越し下さったお客様、配信で見てくださったお客様、
本当にありがとうございました!

『恐の胎動』執筆秘話、ゲストによる感想、怪談を含め、ここでは紹介しきれなかったお話もたくさんありますので、気になった方は是非今野書店さんのイベントアーカイブを購入してご視聴ください!

アーカイブ配信について詳しくはこちらのサイトよりご確認ください!
▼コチラ



作品紹介

『令和怪談集 恐の胎動』クダマツヒロシ/著

新世代最恐怪談 ここに登場!
彗星のごとく現れた新世代が刻むはらわたが軋む恐怖!

・旅の途中で立ち寄った小さな寺での凄惨な体験「御厨子開帳」
・深夜残業中、タバコを吸おうと喫煙室入ろうとすると…「整列!」
・オフィスの椅子が座るたびに妙な音を立てる。そのおぞましい理由とは「豚の椅子」
・久しぶりに会う古い友人が連れていた女の奇妙な行動は…「モルダー先輩」
・親友の住む新しいマンションを訪ねたが、部屋の隅に妙なものを見つけて…「恐の胎動」
――など31話収録。

▼試し読み(収録話「みんな仲良く」全文掲載)はこちらから

著者紹介

クダマツヒロシ

兵庫県神戸市出身。黒目がち。2021年から怪談を語る活動を開始。兄の影響でオカルトや怪談に興味を持ち、幼少期から現在に至るまでに怪談蒐集をライフワークとしている。
2023年、怪談マンスリーコンテスト「瞬殺怪談」企画にて、超短編部門で平山賞・黒木賞をダブル受賞。共著に『投稿 瞬殺怪談』など。

追加イベント情報

4/24 阪急沿線怪談会議 @ロフト大阪

今回ご登壇いただきましたクダマツ先生が、4月24日に大阪にて竹書房怪談文庫の関連イベントに出演されます!
コワ面白いトークを期待されている方は是非ともご欄ください。配信もあります
▼詳細はこちらの画像をタップ

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