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下駄華緒の弔い人奇譚

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怪談最恐戦2019の怪談最恐位、送り人ミュージシャンの下駄華緒が送る連載企画です。火葬場・葬儀屋の赤裸々事情、日常生活では知り得ない葬礼やご遺体の話、はたまた不思議な体験まで、余…
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#心霊

【第2話】火葬した子どもが枕元に… 夢うつつで交わしたあの世とのしりとり【下駄華緒の弔い人奇譚】

【第2話】火葬した子どもが枕元に… 夢うつつで交わしたあの世とのしりとり【下駄華緒の弔い人奇譚】

――第2話――

ある日、火葬場に子供がやってきました。
やってきたと言っても、遺体として、です。
火葬場職員は常になるべく冷静に対応するようにしています。見方によっては冷たい印象を与えてしまうかもしれませんが、職務であるボタン操作ひとつで火葬が出来ていなかった、途中で火が止まっていた、などという重大事故を防ぐ為に、あえて感情移入しないよう努めているのです。

ですが、人間ですから心の中は常に揺れ

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【第14話】街中の雑踏の死体!? 火葬場職員が嗅ぎつけた死の香りと怪異とは…【下駄華緒の弔い人奇譚】

【第14話】街中の雑踏の死体!? 火葬場職員が嗅ぎつけた死の香りと怪異とは…【下駄華緒の弔い人奇譚】

―第14話―

人間の様々な記憶の中でも「におい」がとても強く残りやすいと言う話を聞きました。たしかになるほど、と思うことを火葬場で働いていると感じます。
特に、亡くなってからそれなりの期間が経ったご遺体の腐敗臭……これはもう一生忘れないんだろうなあと思います。

ある日、某所に買い物に出掛けた時です。
その日はいつもよりも暑く、そろそろ夏がやってくるのかな? という気候でした。Tシャツと、ズボン

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【第16話】ネズミだと思いきや… 元職員が明かす、火葬場に潜む恐ろしい怪異【下駄華緒の弔い人奇譚】

【第16話】ネズミだと思いきや… 元職員が明かす、火葬場に潜む恐ろしい怪異【下駄華緒の弔い人奇譚】

―第16話―

どこの火葬場かはここでは言えないんですが、ある火葬場に知る人ぞ知る有名な火葬場職員がいまして、通称「ネズミのおっちゃん」と言われるAさんという方がいました。その人の詳細はこうです。

ある日「職員休憩室にネズミが出た!」とAさんが言いました。
火葬場にネズミが出るというのは勿論好ましくないので職員総出で休憩室を隈なく探します。ですが、どれだけ探してもネズミが見つからないんです。

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【第18話】火葬場には“居る”? 火葬場職員がついにヤツらに狙われる!!【下駄華緒の弔い人奇譚】

【第18話】火葬場には“居る”? 火葬場職員がついにヤツらに狙われる!!【下駄華緒の弔い人奇譚】

―第18話―

ぼくは幽霊やオバケの類は全然見えないし感じないのですが、同じ火葬場の二回り以上年上の先輩でいわゆる「みえる」Mさんという方がいました。
その人はしょっちゅう「ああ、あそこにいるなぁ」と言うので「もお、怖いんでやめてくださいよぉ」と怖がる僕をみて楽しんでいるようでした。

「〇〇家様〜お骨上げの準備が整いました〜」といつものようにご遺族を誘導して僕がお骨上げを担当していたときの話です

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【第31話】「出る」と噂の火葬場。そこで現れたモノの姿、そして意外な正体とは…!?【下駄華緒の弔い人奇譚】

【第31話】「出る」と噂の火葬場。そこで現れたモノの姿、そして意外な正体とは…!?【下駄華緒の弔い人奇譚】

―第31話―

とある場所に「出る」という噂の火葬場がありました。
とはいえ、僕は全然そういう類のものが見えないタイプですし、しかも、もし自分が霊になったとしたらわざわざ火葬場に行くかなぁ?僕だったら死んだ場所とか家に行くなぁ、という素朴な疑問もありで、特になにも気にもしてなかったのですが、この話を聞いた時はなんとなく心に引っかかるものがありました。

ある葬儀屋さんが、その「出る」と噂の火葬場に

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