見出し画像

【第18話】火葬場には“居る”? 火葬場職員がついにヤツらに狙われる!!【下駄華緒の弔い人奇譚】


―第18話―

ぼくは幽霊やオバケの類は全然見えないし感じないのですが、同じ火葬場の二回り以上年上の先輩でいわゆる「みえる」Mさんという方がいました。
その人はしょっちゅう「ああ、あそこにいるなぁ」と言うので「もお、怖いんでやめてくださいよぉ」と怖がる僕をみて楽しんでいるようでした。

「〇〇家様〜お骨上げの準備が整いました〜」といつものようにご遺族を誘導して僕がお骨上げを担当していたときの話です。
お骨上げも中盤に差し掛かった頃でしょうか、ふと見るとMさんが近くでこちらを見ていました。
あれ? いつもなら休憩室にいるのにな、と思いつつ特に気にせずお骨上げを続けていました。

しばらくしてまたフッと見てみるといつの間にか僕の真横にいました。え? と思い小声で「どうしました?」と聞くと「いやいや、どんな様子かと思って」と。
新人ならまだしも僕もそろそろここで働き始めて2年が経つ頃だったので、変だな…と思いつつも「そうですか」と答えてそのまま続けました。

無事お骨あげも終了しご遺族に帰って頂いた後Mさんが僕にこう言いました。
「いやぁ!びっくりしたよ!」
とMさんが言うものですから
「え?何がですか?」と聞くと
Mさん曰く僕がお骨上げをしている間、亡くなった故人さんではなくここの火葬場にも関係ない「何か」が、ずっと僕の頭をかじっていた、と…。だから心配になって見に来たんだよって。

ほんと、ぼくは見えなくて良かったなって心の底から思います。

著者紹介

下駄華緒 (げた・はなお)
2018年、バンド「ぼくたちのいるところ。」のベーシストとしてユニバーサルミュージックよりデビュー。前職の火葬場職員、葬儀屋の経験を生かし怪談師としても全国を駆け回る。怪談最恐戦2019怪談最恐位。

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!