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ショートショート広場

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一話完結〜数話完結の短編集を載せています。 あなたの息抜きのひとつに添えて頂けたら嬉しいです。
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#家族

【小説】 社会死葬儀 【ショートショート】

 予定通りに行けば昨日、私の葬儀が執り行われたはずだ。  最も、この肉体の死を弔う葬儀で…

大枝 岳志
7日前
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【小説】 第二秘書浅見賢太郎 【Ⅲ】

一話、二話はこちら→  新宿会館での少年部講演会を終え、楽屋へ戻った正文学会・会長の吉原…

大枝 岳志
3週間前
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【小説】第二秘書浅見賢太郎 【Ⅰ】

 ここに、とある人物の手記がある。  決して上手いとは言い難い文字や文章を見る限り、日記…

大枝 岳志
3週間前
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【小説】 木になった日 【ショートショート】

 ちょうど雲が切れるように、熱を持った飴が千切れるように、繋いだ手が離れる瞬間のように、…

大枝 岳志
1か月前
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【小説】 父と私の土曜日 【ショートショート】 

 三ヵ月ぶりに危急の用件で実家に帰ることになった。キッカケはマネージャーを通して伝えられ…

大枝 岳志
1か月前
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【短編小説】 サラマンダー広田 

 幼い頃、夕方のテレビ画面に映るトカゲマスクの巨体を見るたびに僕は震えていた。  鉄パイ…

大枝 岳志
2か月前
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【小説】 低空飛行の神様 【ショートショート】

 母親に算数のテストの点が悪かったことを叱られている間、リビングテーブルに座るトオルには浴びせられる罵倒の数々がまったく耳に入っていなかった。  耳に入れば心に届いてしまうため、目の前にある透明花瓶の湾曲部分に見える光や水がなぜ曲がって見えるのだろう? ということだけを考えていた。 「トオル、さっきから聞いているの?」 「うん、聞いてるよ」 「じゃあ、なんでこんなに点数が一気に落ちたのかさっさと答えて頂戴」 「だから! 最初に言ったけど先生がテストの出題を間違えたんだって

【小説】 ヒーロー、交代

 あまりに突然のクビ宣告に、俺は声を出すことさえ忘れてしまった。  今朝、司令官からの電…

大枝 岳志
3か月前
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【小説】 特殊雨予報 【ショートショート】

 三月すらまだやって来ていないというのに、日中の気温は二十度を上回っていた。  蒸し暑い…

大枝 岳志
4か月前
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【小説】 新型NEET制度 【ショートショート】

 新しく始まった「新型NEET制度」の内容がいまいち理解できず、銀行でもらって来たパンフ…

大枝 岳志
5か月前
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【小説】 家電家族 【ショートショート】

 お母さんはいつも暑がりで、冬でもお風呂上りには「暑い暑い」と団扇を手放さず、おまけに冷…

大枝 岳志
5か月前
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【小説】 冬は春のふりをして

 寒の合間にニセモノの春が訪れた。  気温が二十度近くにもなった土曜日の真昼間に、私は手…

大枝 岳志
5か月前
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【小説】 祖父は世界覇者 【ショートショート】

 私の母方の祖父が亡くなった。  母の実家を訪れるたび、小さな頃から私のことを「めいちゃ…

大枝 岳志
5か月前
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【小説】 向日葵畑 

 仕事が夏季休暇に入ると小学五年になる息子と二人きりで過ごす時間が増えた。この家で家族と呼べるものは俺と、そして息子の陵介の二人しかいないから当然といえば当然だ。  今振り返ってみるとまるで笑い話しだが、妻がこの家を出て行く時、陵介には目もくれず飼い犬だけはさぞかし大事そうに脇に抱えて持って行った。  新しい家族に紹介するから、そう言っていた。  離婚当時はまだ小学三年だった陵介は、俺から見ても我慢強い子供だった。  母親と別れなければならなくなった大人の事情で寂しい思いをさ