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ショートショート広場

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一話完結〜数話完結の短編集を載せています。 あなたの息抜きのひとつに添えて頂けたら嬉しいです。
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#日常

【小説】 ドアマンの憂い 【ショートショート】

 劇場のドアマンがその職に就いたのは独裁者の気まぐれからであった。  とある演説後、独裁…

大枝 岳志
6日前
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【小説】 夏。収穫アルバイト 【ショートショート】

 高校生活最後の夏休み。受験勉強そっちのけでアニメを観ていた僕は、ある作品の影響からカッ…

大枝 岳志
10日前
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【小説】 わくわく抽選会 【ショートショート】

 地元の商店街で買い物をしたレシートを五枚集めると、大型テレビやAIスピーカーなんかが当…

大枝 岳志
12日前
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【小説】 夕闇に告ぐ 【ショートショート】

生まれたはずであるこの街の、少し駅から離れた踏切の向う側の景色を実は彼女はあまり良く知り…

大枝 岳志
13日前
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【小説】 笑顔の携帯ショップ 【ショートショート】

 日曜で多忙を極める携帯ショップのカウンター。勤務二ヶ月目にして高岡真奈美は、椅子にふん…

大枝 岳志
2週間前
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【小説】 駅前おじさんの真実 【ショートショート】

 東京○○区駅前等で非常によく見られる光景の一つに、昼間から泥酔し切った中高年者がロータ…

大枝 岳志
2週間前
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【小説】 第二秘書浅見賢太郎 【Ⅳ・最終回】

 浅見は第二秘書着任早々、中学時代より崇拝する正文学会会長・吉原大源と丸一日に及び行動を共にした。  小田原から本部へ向かう道中ほっと胸を撫で下ろしつつも、一家全滅の危機を救った(と浅見が思い込んでいるだけであるが)吉原の人間力に、小田原道中感服の限りを尽くすのであった。  本部へ帰ってからは会長室で寝転んでいた吉原であったが、とっぷり堪能した鯵鍋の余韻が散雲の如く消え去った後は、勃起不全の草臥イチモツを弄びつつ、ふつふつと腹の底から蘇る『少年部講演会』での屈辱を思い出し、

【小説】 第二秘書浅見賢太郎 【Ⅱ】

第一話はこちら 校則で禁止されていた宗教勧誘を行ったことが原因で停学処分となった正文学会…

大枝 岳志
3週間前
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【小説】第二秘書浅見賢太郎 【Ⅰ】

 ここに、とある人物の手記がある。  決して上手いとは言い難い文字や文章を見る限り、日記…

大枝 岳志
3週間前
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【小説】 操り人形の宵辺

 高校卒業前、同窓会連絡簿に載せるための就職先は何処かと、担任に何度も聞かれた。就職にし…

大枝 岳志
1か月前
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【小説】 当たりが出ました 【ショートショート】

 小学校へ続く通り沿いに建つ駄菓子屋の「ひのや」は夕方になると、子供達が集まって来る。 …

大枝 岳志
1か月前
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【小説】 嘘っ子バー 【ショートショート】

 男も四十を過ぎると自然、女に興味が無くなってしまう。よほどの病的物好きでもない限り、若…

大枝 岳志
1か月前
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【小説】 木になった日 【ショートショート】

 ちょうど雲が切れるように、熱を持った飴が千切れるように、繋いだ手が離れる瞬間のように、…

大枝 岳志
1か月前
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【小説】 誰が為に、 【ショートショート】

 三十五歳を過ぎた頃から、人と関わりを持つことが極端に億劫に感じるようになった。  一円にもならない同僚達との世間話、聞くだけで実感のない友人達の平凡な生活の話、時折電話が掛かってくる母親から聞かされる愚痴の数々。  それら全てに興味のあるフリはいつの間にか限界を越え、俺の心はその形を少しずつ少しずつ、溶かして行った。  産業医に相談したら「鬱病ですね」と言われ、心の麻痺の原因かもしれないと思い始めていた営業の仕事を辞めることにした。  それから友人達の連絡先を削除して、誰