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ショートショート広場

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一話完結〜数話完結の短編集を載せています。 あなたの息抜きのひとつに添えて頂けたら嬉しいです。
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#日常

【小説】 無限青々 【ショートショート】

 鍬を握る手が疲れて来て、青々とした空を回る大きな鳥を見上げるフリをして、寛吉はほんの束…

大枝 岳志
2週間前
9

【小説】 缶詰先生 【ショートショート】

 その日、鯖カレーを猛烈に食べたくなった私は近所のコンビニエンスストアへ急ぎ、レトルトカ…

大枝 岳志
3週間前
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【小説】 ドアマンの憂い 【ショートショート】

 劇場のドアマンがその職に就いたのは独裁者の気まぐれからであった。  とある演説後、独裁…

大枝 岳志
1か月前
11

【小説】 夏。収穫アルバイト 【ショートショート】

 高校生活最後の夏休み。受験勉強そっちのけでアニメを観ていた僕は、ある作品の影響からカッ…

大枝 岳志
1か月前
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【小説】 わくわく抽選会 【ショートショート】

 地元の商店街で買い物をしたレシートを五枚集めると、大型テレビやAIスピーカーなんかが当…

大枝 岳志
1か月前
11

【小説】 夕闇に告ぐ 【ショートショート】

生まれたはずであるこの街の、少し駅から離れた踏切の向う側の景色を実は彼女はあまり良く知り…

大枝 岳志
1か月前
7

【小説】 笑顔の携帯ショップ 【ショートショート】

 日曜で多忙を極める携帯ショップのカウンター。勤務二ヶ月目にして高岡真奈美は、椅子にふんぞり返る老人相手に今にも泣き出したい気持ちになっていた。  口を「への字」に曲げた如何にも偏屈そうな顔をしつつ、実際に偏屈な性格の老人の名は日ノ出昭二、御年八十歳。  前日に暇潰しにモールに所在するこの携帯ショップへ訪れ、スマホを眺めていた所、高岡に「お探しですか?」と声を掛けられた。  日ノ出は二つ折りの「ガラケー」しか持った試しがなかったものの、「カンタンに操作できる」と高岡に唆され、

【小説】 駅前おじさんの真実 【ショートショート】

 東京○○区駅前等で非常によく見られる光景の一つに、昼間から泥酔し切った中高年者がロータ…

大枝 岳志
1か月前
12

【小説】 第二秘書浅見賢太郎 【Ⅳ・最終回】

 浅見は第二秘書着任早々、中学時代より崇拝する正文学会会長・吉原大源と丸一日に及び行動を…

大枝 岳志
1か月前
5

【小説】 第二秘書浅見賢太郎 【Ⅱ】

第一話はこちら 校則で禁止されていた宗教勧誘を行ったことが原因で停学処分となった正文学会…

大枝 岳志
1か月前
4

【小説】第二秘書浅見賢太郎 【Ⅰ】

 ここに、とある人物の手記がある。  決して上手いとは言い難い文字や文章を見る限り、日記…

大枝 岳志
1か月前
9

【小説】 操り人形の宵辺

 高校卒業前、同窓会連絡簿に載せるための就職先は何処かと、担任に何度も聞かれた。就職にし…

大枝 岳志
2か月前
8

【小説】 当たりが出ました 【ショートショート】

 小学校へ続く通り沿いに建つ駄菓子屋の「ひのや」は夕方になると、子供達が集まって来る。 …

大枝 岳志
2か月前
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【小説】 嘘っ子バー 【ショートショート】

 男も四十を過ぎると自然、女に興味が無くなってしまう。よほどの病的物好きでもない限り、若い女の尻の匂いをいつまでも追い掛け回すのは時間の無駄以外の何者でもないのは確かだけれど、困ったことにアニメや漫画、映画や音楽といった娯楽全般に対してすら段々と興味も感受性も色褪せて行くばかり。  こうなるのは何も自分だけではなく、男性の中年期特有の症状らしかったのだが、何を見ても楽しめやしないので近頃の私は生きる張り合いをすっかり失くし掛けていた。  ある日の会社帰り、後輩の依田から飲み